陶淵明「山海経を読む」から其五「翩翩三青鳥」を読む。
読山海経其五
翩翩三青鳥 翩翩たる三青鳥
毛色奇可憐 毛色 奇にして可憐なり
朝爲王母使 朝には王母の使と爲り
暮歸三危山 暮には三危山に歸る
我欲因此鳥 我は欲す此の鳥に因りて
具向王母言 具に王母に向って言はんことを
在世無所須 世に在っては須むる所無し
惟酒與長年 惟だ酒と長年とのみと
翩翩たる三羽の青鳥は、変わった毛色で愛らしい姿だ、朝には西王母の使いを勤め、夕にはねぐらの三危山に帰る
わたしもこの青い鳥になって、西王母に向かっていってみたいものだ、「取り立てて望むものはないが、酒と長命を与えて欲しい」と
西王母には、大鶩、小鶩、青鳥という三羽の猛禽が仕えており、王母のために獣を捕らえて食事に差し出すことを役目としていた。
この青鳥について、山海經‧西山經は次のように記している。「又西二百二十里,曰三危之山,三青鳥居之。是山也,廣員百里。」またこれを受けた晉‧郭璞の注には、「三青鳥主為西王母取食者,別自棲息於此山也。」とあり、西王母のために食事を世話することが述べられている。
この三青鳥について三本足の青鳥と解釈するものがあるが、どうも無理な解釈のようである。山海經はこの青鳥を次のように記してもいるからである。「有三青鳥,赤首黑目,一名曰大鶩、一名少鶩、一名曰青鳥」
青鳥は赤い首と黒い眼をしており、三羽いたことが述べられている。
陶淵明はその青鳥の仲間入りをして西王母の使いとなり、その褒美に酒と長命を賜りたいと願っているのである。