ナツツバキ(別名・沙羅の木):水彩で描く折々の花(壺齋散人画)
ナツツバキ(夏椿)は、その名のとおり、夏(梅雨時)に椿に似た白い花を咲かせる。分類上もツバキ科に属するが、ヤブツバキや山茶花などとは違って、落葉する。葉は光沢を持たず、しかもやわらかいので、一見するとツバキとは違う種のようにも見える。
別名を沙羅の木という。最近はこの名のほうがポピュラーなようだ。言葉の響きがよいからだろう。沙羅の木といえば、平家物語にも出てくる沙羅双樹が思い起こされるが、それとは直接の結びつきはない。
絵にあるとおり、花は五弁で、中央に黄色い芯がある。朝開くと夕方には散ってしまう。所謂一日花である。落ちた花は地面にびったりとくっ付くところが、ヤブツバキとよく似ている。
花言葉は「愛らしさ」だ。花の清楚な感じと、一日で散ってしまうはかなさが、そのような連想をもたらしたのだろう。
この絵は、筆者の家の玄関先に植えてあるナツツバキを描いたものだ。一つ一つの花はそれぞれ一日しか咲かないが、蕾が枝を埋めるように出てくるので、花季は結構長い。アジサイとともに梅雨時のうっとうしさを忘れさせてくれる。
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