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地球に似た軌道を描く惑星:太陽系の未来の姿


地球に似た軌道を描く惑星が発見された。その星は、地球から300光年離れたペルセウス座の一角にある赤色巨星の周りを、地球と同じくほぼ1年かけて回っているという。

発見したのはアメリカの天文学者ウォルスツァン Alex Wolszczan 氏、1992年、太陽系以外で初めての惑星を発見した人だ。テキサスにあるマクドナルド天文台から、ウォッブル(揺れ)という技術を用いて見つけ出した。これは惑星の重力による微細な揺れをキャッチする精度の高い技術なのだそうだ。

当の赤色巨星は、太陽より10倍ほど大きく、質量は倍である。また惑星のほうは木星と同じか、やや大きいと思われる。いまのところ、この惑星がほぼ一年かけて恒星の周りを回っているということ以外、詳細なことはわかっていないらしいが、我が太陽系の未来の姿を予想するための、貴重な情報を伝えてくれるという。

太陽は、星のライフサイクルの中で、今が壮年期にあたっているが、数十億年後には老年期を迎えて、赤色巨星に変化すると予測されている。そのとき、我が太陽系にどのようなことが起きるか。想定される事態をシミュレーションすると次のようになるだろう。

太陽が中心部の水素を使い果たし、ヘリウムの核が形成されるにつれて、外側にある水素の層が活発な核融合反応を引き起こし、しかも膨張していく。この膨張は太陽系の内側の惑星を飲み込むほど巨大なもので、地球も恐らく太陽によって飲み込まれてしまうだろうと推測される。だがそうなる前に、太陽の放射熱によって、地球上の水分はことごとく蒸発し、あらゆる生命は死に絶えるであろう。ウォルスツァン氏は、そうした事態が起こるのは20億年くらい先のことだろうという。

太陽の膨張の影響を受けて、太陽系内の環境は激変する。惑星同士が融合し、消滅した惑星の残骸からは新たな天体が発生したりする。地球上からは生命は絶滅してしまうが、ほかの天体に新たな生命誕生のための条件が整うかもしれない。

たとえば、木星の周りを回っている Europa-a という衛星は、現在では分厚い氷の層に覆われているが、これが太陽の膨張熱によって暖められ、生命誕生にとって都合のよい条件が整うかもしれない。

赤色巨星の時代を終ると、太陽の生命は最終段階に入る。外側の水素ガスの層は飛散流出して星状雲となり、中心部は白色矮星に変化する。さらに白色矮星の核融合が終了して、最後に鉄のような重い原子によって構成されるようになると、太陽は膨張力を失って急速に重力収縮し、超新星爆発を起こす。その結果ブラックホールが誕生するのはいうまでもない。

赤色巨星とその惑星を巡って、太陽と地球の運命を考えてしまった。何事にも、無限ということはない。太陽も、そしてもちろん地球も、いつかは消滅する。

しかし、人間の想像力を以てしては、数億年先の地球を思い描くことは、宇宙の果てを覗き見るよりも難しい。


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