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恒星とその惑星:写真撮影に成功


恒星とその惑星らしいものが同時に映った写真を撮影することに、トロント大学の研究グループが成功した。その恒星 JRXS J160929. 1-210524 は、さそり座の一角にあって、地球からの距離は約500光年、太陽の質量の85パーセントほどの大きさである。一方惑星と思われる星は、木星の8倍ほどの大きさで、恒星からの距離は、太陽―地球間の距離の330倍である。

「惑星らしい」という表現をしているのは、まだ確実なデータが得られていないからだ。もしかしたら二つの別々の天体が偶然一緒に映った可能性も否定できない。しかし研究グループは、恒星とその周りを回転する惑星である可能性が非常に高いとする。もしそうなら、太陽系に似た天体の写真がセットで撮影された最初の映像ということになる。

惑星の発見はここ10年ほどの間に飛躍的に進んだ。しかしそのほとんどは、恒星との間に生じている重力の変化をもとに、理論上で推論されたものであり、直接に観察された例は非常に少なかった。それが恒星とセットで観察されたのであるから、天文学者にとっては画期的な出来事といえる。

この恒星と惑星のシステムは、これまで発見されたものとだいぶ異なった特徴を持っている。これまで惑星をもった恒星の大部分は赤色(あるいはブラウン)矮星であったのに対し、この恒星は非常に若い星であり、周囲に点在する約80の星とともに、僅か500万年前に形成されたばかりとされる。

一方惑星のほうは、恒星から非常に離れているにかかわらず、摂氏1800度の高温の状態にある。太陽系では、一番外周を回る冥王星の場合でも、太陽地球間の距離の30倍ほど距離しか離れておらず、またその温度は、たとえば木星の場合マイナス110度と非常に低温である。

これらの数字は、いままでの惑星研究の常識に挑戦するものである。トロント大学の研究グループは、この恒星―惑星のシステムを今後詳細に観察することによって、宇宙の秘密を解き明かしていきたいとしている。


関連リンク: 地球と宇宙の科学

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