ワーキングプア:平成の経済難民
世が平成と改元してよりこのかた、日本の国は少しずつ調子がおかしくなってきたように思えるのだが、最近に至っては、すっかり狂ってしまったように見える。狂いは様々な方面に見られるのであるが、特に労働をめぐる環境に著しい。ワーキングプアと呼ばれる人々の大量の出現は、その最たるものである。
世が平成と改元してよりこのかた、日本の国は少しずつ調子がおかしくなってきたように思えるのだが、最近に至っては、すっかり狂ってしまったように見える。狂いは様々な方面に見られるのであるが、特に労働をめぐる環境に著しい。ワーキングプアと呼ばれる人々の大量の出現は、その最たるものである。
2007年の参院選は自民党大敗の結果をもたらした。マスメディアの中にはこれを歴史的大敗などと大げさに表現するものもある。
横浜の寿地区といえば、東京の山谷地区と並んで関東でも最大規模のドヤ街だったところだ。「ところだ」と過去形で書くのには多少のわけがある。かつては100軒以上の簡易宿泊所が立ち並び、職を求めて全国から集まった日雇い労働者が、一帯にあふれていたものだが、今ではそうした労働者もめっきり減り、しかも高齢化が進んで、ドヤ街特有の活気が失われてしまったのである。
コシヒカリは今や、世界最高級の米のブランドだ。モチモチとして歯ごたえのある食感が、日本人だけでなく世界中の人々の味覚をとらえている。これまで栽培の難しさから日本以外では作るのが困難だとされていたが、最近では技術が向上して、世界のあちこちで作られるようになった。
前稿「世界がコシヒカリを作り始めた」のなかで、NHKの報道番組を紹介しながら、日本の米をめぐる現状とその行方について考え、確固とした農業政策の必要性を痛感した。NHKは更に、政府による農業政策がどのように行われ、どのような結果をもたらしているかを、改めて取り上げているので、今回はそれを材料にしながら、日本の米と生産者の未来について考えてみたい。
管理職といっても名ばかりで、実態は一般従業員と異ならず、長時間の残業を強いられながら手当ての支給もない、これはおかしいと裁判に訴えていた男がいるが、その一審判決が東京地裁から出された。判決は原告の言い分をほぼ全面的に認め、雇用主のマクドナルド・ハンバーガー社に未払いの残業手当2年分750万円を支払えと命ずるものだった。
定時制高校の生徒数が、急に増えているそうだ。手元に資料がないので、全国の動向は詳しくわからないが、都市部の定時制高校は、この二三年の間に、生徒数が倍近くに増えている学校が多いと聞いた。このことは何を物語っているのか。教育をめぐる環境に、おぞましい現象が生じているのであろうか。
ツアーコンダクターといえば、かつては人気のある職種だった。筆者の友人にも大手旅行会社のツアーコンダクターを勤めていた者がいて、若い頃には一年中海外を飛び回り、変化に富んだ生活を送っていた。時にハードなスケジュールに忙しい思いをすることもあるが、なかなかやりがいのある仕事だったようだ。
悪質な闇金融の被害者が絶えない。その実態ははっきりとはわかっていないが、今や大都市圏を超え、全国規模に拡大しているようだ。被害者も、老人、母子世帯、生活保護受給者など、経済弱者といわれる層にまで広がっている。なぜこうした金のない人々を相手に、闇金融業者がなけなしの金を巻き上げるのか、また何故そんなことが可能なのか、そのからくりを考えてみたい。
最近「限界集落」という言葉が流行っているそうだ。居住人口のうち65歳以上の高齢者が50パーセントを超えるような集落を称して、こういうらしい。ものの本によれば、林業研究者の大野晃が1990年代に提唱した概念で、林業の衰退によって、集落が過疎化する現象をとらえたものだった。大野はこの過疎化が余りにも深刻かつ急激で、集落が消滅の危機にさえ直面していることを重く見て、過疎化より進んだ状況を現すために、「限界集落」という概念を持ち出したのだった。
アメリカ大統領選を戦っているバラク・オバマ氏が対立候補を攻撃して「豚に口紅」と発言し話題をさらったのは先日のことだ。共和党のマケイン氏が副大統領候補にペイリン女史を担ぎ出し、新鮮さをアピールしたのに対し、いくらうわべを飾り立てても、中身は変わっていないと批判したのだ。
野村證券が破綻したアメリカの証券会社リーマン・ブラザースのアジア部門とヨーロッパ部門を買収すると発表し、続いて三菱UFJ銀行がモルガン・スタンレーの株式を20パーセント取得して筆頭株主になるというニュースが流れて、世界を驚かせた。
麻生政権が発足した。恐らくジリ貧の現行「自民党」が最後に選んだ内閣になるだろう。
発足したばかりの麻生政権を評して、朝日新聞の天声人語子が「桜鯛内閣」などと形容し、大方の失笑を買ったばかりだが、政権内部から早速、これに祝儀を添えるような事態が起きた。某国土交通大臣の一連の迷走ぶりだ。
米の流通業者三笠フーズが引き起こした詐欺事件は、食の安全を巡って、国民に大きな不安を与えた。何しろ政府が食えない米だと烙印を押したものを安く買い取って、それを食用と偽り転売していたわけだから、悪質だ。国民が怒るのも当たり前である。だがこの事件は心情的に反応するだけではすまない、根の深い問題を抱えている。
FX取引で大損している人が増えている。FX取引はハイリスク・ハイリターンを売り物にしているから、損をすること自体は本来投資家の自己責任の一部に属する。しかし問題なのは、悪質な業者の詐欺的な手法に引っかかって損をさせられたり、業者の倒産によって預けた金が戻ってこない例が多いことだ。
ゲーテッド・コミュニティ Gated Community という言葉が、いま世界の都市開発の現場で有力な合言葉になっている。文字通りに訳せば門を備えた共同体社会ということになるが、要するに柵によって周囲から隔絶され、門を通じて出入りするような空間のことだ。
今回のすさまじい金融危機の引き金になったアメリカのサブプライムローン問題。世界に及ぼした影響は脇へおいて、その問題はアメリカ特有のもののように思われていたが、実は日本でも同様の事態が起こりかねない火種はあるようだ。
貧困ビジネスという言葉があるそうだ。誰が作ったかは知らぬが、NHKがこの言葉を使って、現代日本社会に巣食う病理現象を描き出していた。
麻生首相と小沢一郎氏の党首討論が昨日行なわれた。首相側からの要請に、小沢氏が応えたものだ。だが討論を見た限りでは、首相のほうは守りの姿勢が目立ち、小沢氏に皮肉な牽制球を投げられて苦笑いをするなど、とても討論をリードしていたとはいえない。自分から呼びかけておいて、逃げの姿勢に徹するようでは、大方の嘲笑を買うだけだ。
企業による新卒者の採用内定が、相次いで取り消されているという。背景にはこのところ深刻化してきた景気の低迷がある。業績悪化が見込まれる中で、人員を増やす余裕はないというのが、企業側の取り消しの理由だ。だが取り消される学生にとって見れば、険しい就職戦争の中でやっともらった内定通知を、あっさりと取り消されるのではたまったものではないだろう。この先代替の就職先が見つかる可能性も極めて少ない。
裁判員候補者への通知が行われている。先週末に第一便が届き始め、昨日と今日とで該当者のほぼ全員へ届いているはずだ。もらった人は複雑な気持ちだろう。もらわなかった人はとりあえず胸をなでおろしたかもしれない。
不況が国際的な広がりを見せる中で、日本経済も深刻な局面に入りつつあるようだ。輸出産業に依存する構造的な弱さが、不況の深刻化に拍車をかけていることもある。その影響が、派遣や短期雇用といったいわゆる非正規雇用の人々を直撃している。明日からの仕事はもうないと、突然解雇通告を受ける人々が急増しているのだ。
政府の地方分権改革推進委員会が第2次報告を出し、その中で国の出先機関を統廃合して3万5000人を削減、うち2万3000人は地方へ移管という目標を掲げた。なかなか進まぬ行政改革を、数値目標を示すことで進めさせようとする意図が伺えるが、その中身は十分な検証を経たものとはいえないようで、早くも実現を危ぶむ声が優勢だ。
フードバンクとは、さまざまな事情で廃棄せざるをえない食料を受け集め、それをホームレスや母子家庭などの生活困窮者に無料で提供している団体を指す。アメリカでは1960代からボランティア活動として始まり、今では200もの団体が活躍しているそうだ。
NHK恒例の新春トーク番組が今年は「世界はどこへ、そして日本は」と題し、いま世界中が陥っている経済の機能不全と日本のこれからについて、活発な議論を展開するというので、期待しながら見た。というのもこの議論には今日の日本の論客を代表する人物として7人が名を連ね、その中にこれまでの日本の経済政策をリードしてきた竹中平蔵氏と、始終これを批判してきた金子勝氏が含まれていたからだ。
日雇い労働者の派遣禁止を内容とする労働者派遣法の改正案が、国会で継続審議扱いのままになっている。この法案の審議が進まないうちに、雇用情勢が一段と悪化し、いわゆる派遣切りという事態が生じてきていることは周知のとおりだ。
一国の首相も国民の不支持が7割を上回るようでは末期的だ。不人気もここまで徹底すると、言われなくとも済むことまで言われるようになる。今日も知人たちと昼食をとっている最中、こんな噂話が飛び出てきた。時の首相は「3Kが読めない」。
鳩山総務大臣の最近の一連の言動が話題を呼んでいる。大きなテーマはふたつ、ひとつは旧郵政省所管の簡保の宿の処分を巡るもの、もひとつは東京中央郵便局の建て替えを巡るものだ。どちらも旧郵政省の所管事項を引き継いだ総務省の大臣としての発言である。
日本の健康保険制度は、昭和30年代に国民皆保険が確立して以来、国民の健康を支える土台となってきた。それが半世紀を経過した今、危機的な状況に直面している。その背景には、少子高齢化という社会構造上の深刻な問題がある。
障害者雇用促進法が制定されて、各企業に一定の割合で障害者の雇用が義務付けられたことによって、障害者の職場進出が拡大してきた。障害者が仕事を持って自立するということは、ノーマライゼーションにとって究極の姿であるから、こうした趨勢が今後も進んでいくことが望まれる。
先日群馬県内にある無届老人ホーム「たまゆら」から出火し、入所者16人のうち10人が焼死するという痛ましい事件が起きた。こんなにも多くの入所者が死んだのは、建物のほとんどの扉に鍵がかけられており、入所者たちが外へ脱出できなかったのが原因だろうと見られている。
日本が台湾を領有したのは明治28年(1895年)、日清戦争に勝利した戦利品としてだった。それ以来、昭和20年(1945年)の敗戦によって領有権を放棄するまでの50年間、台湾を植民地として統治した。