豚に口紅:NYT自民党総裁選を揶揄する

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アメリカ大統領選を戦っているバラク・オバマ氏が対立候補を攻撃して「豚に口紅」と発言し話題をさらったのは先日のことだ。共和党のマケイン氏が副大統領候補にペイリン女史を担ぎ出し、新鮮さをアピールしたのに対し、いくらうわべを飾り立てても、中身は変わっていないと批判したのだ。

ところで日本ではいま、自民党の総裁選が戦われているが、その様子をニューヨークタイムズが「豚に口紅」とたとえて、日本人の失笑を買った。

ニューヨークタイムズがいいたいのは、日本の政治がなかなか変革されず、国民が迷惑をこうむっているということらしい。今回も5人の候補者が立候補し、いずれも変革を訴えているが、その変革の中身が国民にはストレートには伝わらない、一番有力視される麻生太郎候補は、若者受けするパフォーマンスで新鮮さを売り込んでいるが、中身は旧来型の範囲を出ない、ほかの候補は小泉人気に便乗して浮上を図ろうとしているが、せいぜい麻生太郎氏の人気を盛り上げるためのだしになっているに過ぎない、といった具合だ。

筆者もテレビなどで見る限りは、自民党の総裁候補たちがこれから何をしようというのか、よく伝わってこないという気がしている。麻生太郎氏以外の四人の候補者は、いずれも変化とか改革とかいう言葉を連発しているが、何をどのように変えるのか、また日本人の生活をどのような方向へ導くのか、その肝心のところが明らかでない。

かつて阿部晋三首相が改革改革と叫びながら選挙に敗退したことがあったが、そのときにも国民はいったい何が問題で、何をどのように改革するのか、時の首相から具体的に聞くことがなかった。むしろそのいうところの改革とは、実は自分たちの生活破壊を意味しているのではないかとも受け取れた、その結果があの大敗につながったのだ。

麻生太郎氏も景気のいいことを言っているようだが、その内容は財政出動で需要を喚起する類の旧来型の手法の域をでないというのが、大方の率直な感想だろう。

こんなわけで、今回の自民党の総裁選には、変革への具体的な道筋が感じられない。候補者たちはただただ、美辞麗句を重ねるばかりで、政策の内実を示さないでいる。

これでは外国のジャーナリストから、「豚に口紅」と揶揄されても、怒れない。

(参考)Populist Appeals in Election, and Claims of Political Theater By Martin Fackler NYT


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