詩人の魂


 ねえ、ちびっこ王子、きみの人生って、わびしいものだったんだね。だって、お日さまが沈むのを見るよりほかに、気晴らしがなかったなんて。僕には、そのことが、四日目の朝に、君と交わした対話から、わかったんだ。

 日ごとに僕は、その惑星とか、その子がそこから出発して、旅に出たことなんかが、わかるようになった。考えているうちに、少しずつわかったんだ。そして出会って三日目に、バオバブの話を聞いたってわけ。

 もうひとつ、とても大事なことがわかった。その子の生まれた惑星は、普通の家よりちょっぴり大きかっただけってこと。

 この子がどこから来たのか、それがわかるまでは長い時間がかかった。だって、このちびっこ王子は、僕にはいろいろ質問するくせに、僕のいうことには耳を貸さないんだ。でも、その子がたまにしゃべる言葉からから少しずつ、わけがわかってきたんだ。

 僕は誰とも全く口をきかないで、一人ぼっちで暮らしていたんだけど、そうして6年がたった時に、飛行機が故障して、サハラ砂漠に不時着したんだ。モーターのどこかが壊れたみたい。飛行機には、エンジニアも、お客も、乗っていなかったので、僕は一人だけで、むつかしい修理に取り掛かった。だって、生死がかかっていたからね。8日の間、飲み水もなかったんだよ。

6歳の時、ぼくは「歴史体験」という題の、野生の森の本を、読んだことがあるんだ。そこに、すごい絵がのってた。猛獣を呑み込んでるボーア蛇の絵だよ。ほら、こんな感じの絵だよ。

アントワーヌ・サン=テグジュペリの名作 Le Petit Prince は、日本では「星の王子さま」の題名で、内藤濯の翻訳したものが愛読されてきた。これはこれで、多くの子どもたちに、感動を与えてきたのだと思う。

ロベール・デスノスの「おりこうさんのおとぎ歌」から「ふくろう(Les Hiboux)」(壺齋散人訳)

  お母さんフクロウたちが
  ちびっこフクロウたちを
  ひざの上に抱えながら
  しらみ取りをしているよ

ロベール・デスノスの「おりこうさんのおとぎ歌」から「しまうま(Le Zèbre)」(壺齋散人訳)

  しまうまは闇の馬
  脚を上げて目を閉じて
  背骨をボキボキ鳴らしながら
  うれしそうにいななくんだ

ロベール・デスノスの「おりこうさんのおとぎ歌」から「ホタル(Le Ver luisant)」(壺齋散人訳)

  ホタルは真夜中に光る
  星空の下で光る
  そしてあらゆるものが眠るとき
  月にいって食事をするのさ

ロベール・デスノスの「おりこうさんのおとぎ歌」から「アリクイ(Le Tamanoir)」(壺齋散人訳)

  ―アリクイを見たことある?
  青い空 灰色の空 白い空 黒い空
  ―アリクイを見たことある?
  青い目 灰色の目 白い目 黒い目
  ―アリクイを見たことある?
  青いワイン 灰色のワイン 白いワイン 黒いワイン

ロベール・デスノスの「おりこうさんのおとぎ歌」から「ペリカン(Le Pélican)」(壺齋散人訳)

  キャプテンのジョナサンが
  18歳になったある日
  東の海の果ての島で
  一羽のペリカンを捕まえました

ロベール・デスノスの「おりこうさんのおとぎ歌」から「チョウチョ(Le Papillon)」(壺齋散人訳)

  チョウチョが3億匹
  シャティヨンにやってきて
  そこでスープを飲んだ
  シャティヨン・シュル・ロワール
  シャティヨン・シュル・マルヌ
  シャティヨン・シュル・セーヌ

ロベール・デスノスの「おりこうさんのおとぎ歌」から「かわせみ(Le Martin-pêcheur)」(壺齋散人訳)

  マル マル マルタンが
  朝寝からおきると
  かわせみのマルタンが
  うたた寝から目覚めると

ロベール・デスノスの「おりこうさんのおとぎ歌」から「カマレオン(Le Lézard)」(壺齋散人訳)

  岩陰のトカゲ
  壁を這うトカゲ
  畑にいるトカゲ
  時計台のトカゲ

ロベール・デスノスの「おりこうさんのおとぎ歌」から「ヒョウ(Le Léopard)」(壺齋散人訳)

  森の中では
  ヒョウに気をつけな
  声もたてずに
  いきなり現れるから

ロベール・デスノスの「おりこうさんのおとぎ歌」から「ラマ(Le Lama)」(壺齋散人訳)

  ラマ ラマの子ども
  ラマのお父さん
  アルパカのいとこ
  お馬さんの弟分
  グアナコの兄貴
  いつも注意を働かせて
  物音の気配をかぎつけては
  おおかみ人間から逃げるんだ
  油断は禁物だからね
  ラマはペルーの都
  リマに住んでいます

ロベール・デスノスの「おりこうさんのおとぎ歌」から「カンガルー(Le Kangourou)」(壺齋散人訳)

  最初のカンガルーは カンガルーの王様
  ひづめには大きなサーベルを下げ
  キャベツの葉っぱの冠をかぶってる

ロベール・デスノス「お利口さんのおとぎ歌」から「ロブスター(Le Homard)」(壺齋散人訳)

  ロブスターは海の王者
  青いロブスター 赤いロブスター
  ロブスターは後ろ向きに泳ぐ
  そら動いたぞ ロブスターが

ロベール・デスノス「お利口さんのおとぎ歌」から「ヌー(Le Gnou)」(壺齋散人訳)

  パンパンパン 誰だい門を叩くのは
  パンパンパン ガキ大将だよ
  パンパンパン 門を開けてくれよ
  パンパンパン 孔雀を連れてくるから
  パンパンパン 門を開けてくれよ
  パンパンパン ラオスから来たんだから
  パンパンパン 僕はヌーの子どもなのさ

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