詩人の魂


ポール・エリュアールの詩「悲しみの常夜灯」Le front aux vitres(壺齋散人訳)

  窓ガラスに額を押し当てたぼくは 悲しみの常夜灯のようだ
  そのようにして暗い夜を過ごした空
  平野はぼくの開いた手の中に小さくおさまり
  二重になった地平線が無味乾燥に見える
  窓ガラスに額を押し当てたぼくは 悲しみの常夜灯のようだ
  ぼくは君を求めて時間を超越し
  ぼく自身を超越する
  ぼくにはもうわからない 果たして君を愛していたのかが
  ぼくらはふたりとも この世にいないも同然だから

ポール・エリュアールの詩「彼女がぼくの上に覆いかぶさる」Elle se penche sur moi..(壺齋散人訳)

  彼女がぼくの上に覆いかぶさる
  さりげない振りをして
  ぼくの愛を確かめるように
  それを確かめた彼女の瞳には
  放心の影が漂っている
  ぼくの手の中に頭をうずめて彼女は眠る
  ぼくらは眠る
  寄り添って くっつきあって
  ふたりとも生きている
  ぼくも 彼女も生きている
  ぼくの頭は彼女の夢の中で転がってる

ポール・エリュアールの詩「大地は青い」La terre est bleue(壺齋散人訳)

  大地は青い オレンジのように
  一度だって言葉が誤ったことはない
  言葉を発しても歌にはならない
  言葉を求めあうならキスしよう
  道化たちと恋人たち
  許婚の口元には
  秘密がある 微笑がただよう
  彼女の衣装はゆったりしすぎて
  まるで裸でいるみたいだ

ポール・エリュアールの詩「ぼくが君に語ったのは」Je te l'ai dit(壺齋散人訳)

  ぼくが君に語ったのは雲のこと
  ぼくが君に語ったのは海に生えている木のこと
  波のこと 葉陰にいる鳥たちのこと
  岩がたてる音のこと
  ぬくもりのある手のこと
  きょろきょろと動き回る目玉のこと
  それは眠くなると空の色になるんだ

ポール・エリュアールの詩「君の瞼の曲線」La courbe de tes yeux(壺齋散人訳)

  君の瞼の曲線がぼくの心に円を描く
  踊りの輪のようにやさしい輪
  時のきらめき 眠りのゆりかご
  ぼくがいままでのことを覚えてないとしたら
  それは君の目がぼくを見ていなかったせい

ポール・エリュアールの詩「裸の真実」Nudité de la vérité(壺齋散人訳)

  絶望に羽はない
  愛にも羽はない
  どちらにも顔がない
  ましてしゃべることもない
  ぼくは動かない
  ぼくは見ようとしない
  ぼくは話しかけようとしない
  でもぼくは生きている
  ぼくの愛と絶望もまた生きている

ポール・エリュアールの詩「恋する女」L'amoureuse(壺齋散人訳)

  彼女の目がぼくの目に突き刺さる
  彼女の髪がぼくの髪ともつれ合う
  彼女の手はぼくの手と同じ形だ
  彼女の瞳はぼくの瞳と同じ色だ
  彼女の影がぼくの影と溶け合う
  石が空と溶け合うように

ポール・エリュアール Paul Eluard の詩「マックス・エルンスト」Max Ernst(壺齋散人訳)

  隅っこのほうでは もつれあったふたり
  少女が侵されるのは近親相姦を見るようだ
  隅っこのほうでは あけ広がった空が
  嵐の背骨に白い玉をそそぎかける

  隅っこのほうでは 目を大きく見開いて
  魚の苦悩を見つめている人がいる
  隅っこのほうでは 野菜のような緑色の車が
  でんと構えて動かないでいる

  青春の花盛り
  ランプの光に照らされた
  少女のおっぱいには 赤い昆虫の死骸が見える

エディット・ピアフのシャンソン「群集」 La Foule(壺齋散人による歌詞の日本語訳)

  街はお祭騒ぎで浮かれてたわ
  太陽が輝き喜びがあふれ
  音楽に混じって 叫び声 笑い声が
  わたしの周りで炸裂してた
  大勢の人たちに突き飛ばされ
  ぼおっとなったわたしは
  突然振り向くと 後ずさりする
  あの人の腕の中に飛び込んだの

エディット・ピアフのシャンソン「ミロール(だんな)」Milord(壺齋散人による歌詞の日本語訳)

  おいでよ だんな
  よっていきなよ
  外は寒いでしょ
  ここはあったかいよ
  気楽に だんな
  くつろいでいきなよ
  抱いてあげるから
  好きにさせてあげるから
  わたしのことは だんな
  知らないだろうけど
  わたしはあんたを
  よく知ってるよ

エディット・ピアフのシャンソン「ある日の恋人たち」Les Amants d'un Jour(壺齋散人による歌詞の日本語訳)

  カフェの隅で
  コップを拭きながら
  夢見ることは
  たくさんあるわ
  こんな月並みな
  光景の中にも
  泣かせる夢が
  現れてくるわ

エディット・ピアフのシャンソン曲「アコーデオン弾き」L'accordéoniste(壺齋散人による歌詞の日本語訳)

  場末の女にだって
  可愛い子がいる
  その子にはとても
  好きな男がいた
  仕事が終わると
  町に出かけていって
  人ごみの中に
  夢を探した
  男は大道芸人
  風采の上がらない
  アコーデオン弾き
  ジャヴァの曲が得意

フランス民謡から「橇に乗って」Promenade En Traineau(壺齋散人による歌詞の日本語訳)

  足早に馬は走る 鈴を鳴らし
  楽しそうに丘を越えて橇が行くよ
  谷間の冬にも青い空がいっぱい
  ああ なんて気持ちがいいんだろう 

  ゆけ ゆけ それ 橇がゆく
  マントに包まってゆこう
  ゆけ ゆけ それ 橇がゆく
  身を寄せてうずくまろう
  巣の中のスズメのように

フランス民謡から「サンタのおじさん」Petit Papa Noël(壺齋散人による歌詞の日本語訳)

  クリスマスの美しい夜
  雪が盛んに降る中を
  空に向かって目を開き
  小さな子がひざまずいて
  目を閉じて眠る前に
  最後のお祈りをします

フランス民謡から「ぼくが好きなら」Si tu veux faire mon bonheur:壺齋散人による歌詞の日本語訳

  ぼくが好きなら
  マルグリット マルグリット
  愛してくれるんだったら
  キスして欲しいんだ

  こういうと マルグリットは
  ぼくにキスを してくれたんだ
  マルグリットが ぼくに
  キスしてくれたんだ

フランス民謡から「風車が回る」Petit Moulin(壺齋散人による歌詞の日本語訳)

  まわる まわる 風車が
  おててを おててを たたこう
  飛べ 飛べ 小鳥
  泳げ 泳げ お魚
  水車は 回る
  おてては 拍手
  小鳥は 飛んで
  お魚は 泳ぐ

フランス民謡から「いじわるな 鐘撞さん」Le maudit carillonneur(壺齋散人による歌詞の日本語訳)

  いじわるな 鐘撞さん
  わたしをじらすのが楽しいの?
  朝早くから鐘に
  しがみついて
  夕方にも
  強く鳴らす
  いつになったらやめて
  くれるの?

フランス民謡から「クモさん」Une araignée sur le plancher(壺齋散人による歌詞の日本語訳)

  クモさんが 床の上で
  編み物してる

  カタツムリさんが ビンの中で
  靴を縫ってる

  空では ミツバチが
  音楽を鳴らしてる

  ファンファーレの 鐘を鳴らすのは
  ネズミさんです

フランス民謡から「とてもご機嫌」La bonne aventure ô gué(壺齋散人による歌詞の日本語訳)

  ぼくは 赤ちゃん
  おちゃめな 赤ちゃん
  ボンボンが 好きなんだ
  ジャムも 好きだよ
  くれるんだったら
  喜んで食べるよ
  そしたらご機嫌だよ
  とてもご機嫌

フランス民謡から「ご挨拶しましょ」L'alouette est sur la branche(壺齋散人による歌詞の日本語訳)

  ひばりさん 枝の上で
  ひばりさん 枝の上で
  ご挨拶しましょ ひばりさん
  ご挨拶しましょ ちゃんとしたご挨拶

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