ロンドン・オリンピックに出場するサッカー日本男子チームがビジネスクラスでフライトしたのに対して、女子チーム「なでしこ」はエコノミークラスでフライトした。この事実が知れ渡ると、ヨーロッパ中のメディアが関心を示したそうだ。日本では相変わらず、男女差別が平然と行われているのではないか、というわけだ。
事情を聴かれた日本サッカー協会は、二つのチームの財布が違うことを理由にあげたそうだ。男子チームはプロのバックもあって予算が潤沢なのに対して、なでしこたちにはスポンサーがいないので、男子のような待遇は受けられない。これは純粋に経済的な事情であって、けっして差別されているわけではないというわけだ。
だがその理屈は欧米の記者たちには分かりにくかったようだ。どちらのチームも国を代表してオリンピックに出るのに、異なった待遇を受けるのが理解できない、というのだ。第一男子チームには勝利の可能性が非常に低いのに対して、女子は優勝を狙える力量がある。国として、彼女たちをもっと大事にすべきじゃないかと言うのである。
同じような批判は、オーリアストラのバスケットボールチームの場合にも向けられたという。これも、男子が全員ビジネスでフライトしたのに対して、女子の場合には、ビジネスとエコノミーが混在していたことに対して、オーストラリア・バスケットボール協会が釈明したが、批判が収まらないので、今後は平等な待遇をするように改めたいと声明を出したそうだ。
こんなことがあったので、日本の男女差別がいっそうやり玉に挙がったのかもしれない。
いずれにしても、男女両チームとも日本の国を代表する形で参加するわけだから、その間に差別待遇があるなどと、余計な誤解を与えるようなやり方は慎んだ方がよさそうである。予算がどうのこうのといった言い訳は、国際社会の中では、なかなか通じないし、だいいち大国らしからぬ、余りにもけち臭いやり方だ。(写真はロイターから)
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