アメリカの原子力行政においては、原発から出た使用済み核燃料は、再利用しないで、単に貯蔵しておくこととされたきた。貯蔵は短期的には各原発施設内の使用済み核燃料プールで行われるが、最終的には大規模な貯蔵施設に集約される。現在ネヴァダ州のユッカ山にある貯蔵施設がそれだ。ところがこの施設の容量が無制限ではないため、もうひとつ作るべきだとの議論が巻き起こった。
いまのところ、具体的な選定作業には入れていないが、ニューメキシコ州あたりが候補地に挙がっているらしい。だが使用済み核燃料は、決して安全だといえないので、関係住民がすんなりと建設を認めるかは不透明だ。
こんな議論が巻き起こった背景には無論福島原発の事故がある。福島では原発内にある使用済み核燃料プールが損傷し、露出した核燃料から膨大な放射性物質が拡散した。このことからアメリカでは、使用済み核燃料を原発施設内にいつまでも保存しておくことの危険性が、改めて議論されたのだろう。
福島土産としてはもうひとつ、使用済み核燃料の再利用にかかわる議論が巻き起こったこともあげられる。再利用することで、核のごみの排出にブレーキをかけようとする発想が、もう一度議論された形だ。
再利用方法を取り入れるにしても、核のごみ(使用済み核燃料)は、いつかは残される。これらのごみを安全に保存するためには、ユッカ山中の施設のように、地中深く埋蔵して、周囲の環境から遮断されているという条件が満たされなければならない。(写真はユッカ山の核燃料貯蔵施設:WP)
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