プッシー・ライオットは刑に処されるべきか

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今年(2012年)の2月、プッシー・ライオットという名のロシアの女性パンクロック・グループが、モスクワにあるロシア正教の大聖堂に忍び込み、覆面姿で外壁の上に立って、プーチンを批判する内容の歌を歌った。「マリア様、プーチンめを追い出してちょうだい」という歌詞だった。

彼女らのうち三人が逮捕されたが、逮捕容疑はフーリガン行為というものだった。ロシア正教の信者を悲しませるような行為が、フーリガン行為に当たるというのだ。

彼女らは、これまでずっと拘留されてきたが、7月20日にやっと公判が開かれ、検察側から7年間の拘留が求刑された。そのニュースが欧米のメディアに伝わると、早速プーチンを批判する論調が盛んになった。それらの論調には、ロシア正教の大聖堂でプーチンを批判する歌を歌ったことが、何故7年間の拘留に相当する犯罪になるのか、民主主義国家では考えられないという意見が多かった。

プーチン自身は、彼女らをあまり痛めつけないようにという考えらしいが、プラウダはそうは考えていないようだ。というのも、英語版プラウダ(WEB版)でこの問題を取り上げ、プッシー・ライオットへの処罰の正当性を主張しているからである。

プラウダによればこの問題の本質は、西欧のジャーナリストが言うように、プーチンに対する攻撃ではなく、あくまでもロシア正教の信者たちへの侮辱ということらしい。ロシア正教の信者に対する侮辱であれば、法律に従って淡々と罰するべきである。というのも、ロシアの人権宣言にあたる「良心・信仰の自由に関する法律」には、「何人も、個人の宗教的な感情を害する目的で、公演をしたり言説を為してはならない」と書いてあるからだ。

プッシー・ライオットの行ったことは、ロシア正教の信者たちの宗教的な感情を害することを目的にしたものなのであり、したがって罰せられるのは当然だ、とプラウダは言うのである。

その証拠に、とプラウダは畳みかける。ロシア正教の大主教たるキリール司祭は、彼女たちの行為がロシア正教の信者たちを侮辱するものだと抗議しているし、彼女たち自身、自分たちのしたことが過ちだったと認めているではないか。リーダー格のナジェージダ・トロコニコーヴァは明らかに、自分たちのしたことが、ロシア正教の信者たちの心を傷つけたと認めているのだ。

そうだとすれば、検察は断固たる態度を取るべきであって、いささかも遠慮する必要はない。たとえプーチンが鷹揚に構えたところで、そんなことを気にせずに、彼女たちに7年間の豚箱生活を味あわせるべきなのだ、とプラウダの記事は意気軒昂そのものなのである。(写真は檻に入れられたまま法廷に引き出されたプッシー・ライオットのメンバーたち:AFPから)

(参考)The PR of Pussy Riot Pravda.Ru





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このページは、が2012年8月 5日 20:26に書いたブログ記事です。

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