ミラボー橋 Le pont Mirabeau :アポリネール詩集「アルコール」

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アポリネール詩集「アルコール」から「ミラボー橋」を読む。(壺齋散人訳)

  ミラボー橋の下をセーヌが流れる
  我らの愛も
  忘れないでおこう
  苦悩の後には喜びがあることを

  日は暮れよ 鐘よ鳴れ
  時は流れ ぼくはとどまる

  手をつなぎ 顔を見詰め合おう
  つないだ手の
  下にはゆったりと
  永遠のまなざしが流れていくだろう

  日は暮れよ 鐘よ鳴れ
  時は流れ ぼくはとどまる

  愛は過ぎ去る 水の流れのように
  愛は過ぎ去る
  時は遅々として
  希望ばかりが激しくせまる

  日は暮れよ 鐘よ鳴れ
  時は流れ ぼくはとどまる

  日々が流れ 月日はたつ
  過ぎた時も
  消えた愛も戻らない
  ミラボー橋の下をセーヌが流れる


「ミラボー橋」はアポリネールの詩の中でももっとも有名なものだ。レオ・フェレが曲をつけてシャンソンの名曲にもなった。今でも世界中で歌われている。

この詩はマリー・ローランサンとの短いが激しい恋を歌ったものだといわれてきた。川の流れを時の流れにたとえ、そこに人間の愛のはかなさを重ね合わせている。感傷的で通俗的だという批判もあるが、言葉の勢いが、人々の心をとらえる。


LE PONT MIRABEAU

  Sous le pont Mirabeau coule la Seine
  Et nos amours
  Faut-il qu'il m'en souvienne
  La joie venait toujours après la peine.

  Vienne la nuit sonne l'heure
  Les jours s'en vont je demeure

  Les mains dans les mains restons face à face
  Tandis que sous
  Le pont de nos bras passe
  Des éternels regards l'onde si lasse

  Vienne la nuit sonne l'heure
  Les jours s'en vont je demeure

  L'amour s'en va comme cette eau courante
  L'amour s'en va
  Comme la vie est lente
  Et comme l'Espérance est violente

  Vienne la nuit sonne l'heure
  Les jours s'en vont je demeure

  Passent les jours et passent les semaines
  Ni temps passé
  Ni les amours reviennent
  Sous le pont Mirabeau coule la Seine


関連リンク: 詩人の魂ギヨーム・アポリネール:生涯と作品

  • アルチュール・ランボー初期の詩

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