5月26日に、フロリダ州の路上で、裸体の若い男が初老のホームレスの男性を襲い、その男性の顔を食いちぎっているところを、駆けつけた警察官によって射殺されるというおぞましい事件が起こった。顔を食われた男性は、一命は取り留めたものの、両目をはじめ顔の4分の3を失ったということだ。
その直後に、今度はアメリカのメリーランド州で、大学生が自分のルームメイトを殺したうえで、心臓や脳を食ったという事件が起きて、全米を震撼させた。
それとほぼ同時期に、カナダでバラバラ死体事件が起きて、容疑者として、元ポルノ俳優のルカ・マグノッタと言う男が指名手配されたが、この男も、人間の臓器を食うところをヴィデオに映して、それをネットにアップしていたというので、カナダやアメリカの市民を驚かせた。
人肉食いと言う究極のタブーが、相次いで犯される事態に接して、何故こんなことが起こるのか、多くの人々を困惑させている。
原因として薬物乱用や、ネット中毒が指摘されているようだが、なかでもインターネットが人の人格に破壊的な影響を及ぼす可能性について、議論がかまびすしいようだ。最新号のニューズウィークでも、マグノッタはネット気違いだったといっているし、また今回の人肉食いとはちょっと背景が異なるが、昨年にノルウェーで78人もの人々を殺害したブレイヴィクの場合も、インターネットのゲームサイトなどに悪い影響を受けた可能性が指摘されたりしている。
つまりこういった連中は、ネット空間に没入してしまうことで、リアルとバーチャルの区別がわからなくなり、何が残虐で、何が許されない行為なのか、物事の筋目がわからなくなってしまっているというのである。
だから、ネット空間を取り締まれとは、この記事ではいっていなかったが、要するに新しい文明空間の出現が、狂気の新しいタイプを生み出す、ということを言いたいように聞こえた。
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