この写真を見て筆者は、コゼットの手を引いて地下下水道を逃走するジャン・ヴァルジャンを思い浮かべた、ヴィクトル・ユーゴーの小説「レ・ミゼラブル」の感動的なシーンのことだ。
写真が映し出しているのはパキスタンの洪水の爪あとで、地下下水道の中ではない。だが暗闇の中で、水に浸かりながら避難する父子の姿は、運命の重さに耐えているようで、ついジャン・ヴァルジャンたちの姿に重なってしまう。
今年の夏パキスタンを襲った洪水は、1600人の命を奪い、被災者の総数は2000万人にのぼったという。
この写真は、ニューズウィーク誌の特集 A Year in Photographs の中で見つけたもの。写真の迫力を改めて感じさせられた。
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