杜甫の七言律詩「秋興其六」(壺齋散人注)
瞿唐峽口曲江頭 瞿唐峽口 曲江の頭
萬里風煙接素秋 萬里 風煙 素秋に接す
花萼夾城通禦氣 花萼 夾城 禦氣通じ
芙蓉小苑入邊愁 芙蓉 小苑 邊愁に入る
朱簾繡柱圍黃鶴 朱簾 繡柱 黃鶴圍み
錦纜牙檣起白鷗 錦纜 牙檣 白鷗起つ
回首可憐歌舞地 首を回らせば憐むべし歌舞の地
秦中自古帝王州 秦中は古より帝王の州
ここ瞿唐峽と長安の曲江の頭とは、万里を隔ててなお風煙相通じている、花萼夾城の天子の気はここまで届き、芙蓉小苑の気配はここまで漂ってくる
朱簾繡柱を黃鶴が囲み、錦纜牙檣に白鴎が舞い飛ぶ、首を回してみれば実にそこは歌舞の地であった、長安のある秦の地は古より帝王の州だったのだ
長安の曲江の頭で遊覧する天子のかつての栄光を歌いながら、現在の衰退を嘆く、あのときの曲江と現在の瞿唐峽とは万里隔つといえど繋がっている、だから頭をめぐらせば、往昔の栄光がありありと甦ってくる、なんといっても秦は昔から帝王が座すところだったのだ
関連サイト: 杜甫:漢詩の注釈と解説
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