スキャンダル続きの世界の政治シーンの中で、スキャンダルの元祖ともいうべきベルルスコーニ・イタリア首相。ブンガブンガ・スキャンダルで訴追されたにもかかわらず、そんなことは一向意に介しない。大胆不敵な笑顔を振りまき、世界中の常識人たちを憤慨させている。
そのエネルギーの源はどこにあるのか。何しろこの男は一代にして巨万の富を築いてイタリア一の富豪にのし上がった。巨大メディア産業を支配している。戦後のイタリア政治史上最長の首相在任期間を誇った。イタリアの近現代史上ムッソリーニにつぐ勢いだ。やはり人間として桁違いにできているのだろう。
そんなベルルスコーニだが、政治的な業績はほとんどないと評価されている。
イタリア経済は、この10年間で5パーセントしか成長できず、アメリカの20パーセント、イギリスの10パーセントと比較しても、大きく水をあけられている。他方、国の借金は増える一方で、いまやGDPの120パーセントにもなった。
これはベルルスコーニ一人の責任ではないが、しかし彼が連続的に訴追され、そのたびに火消しのために膨大なエネルギーを使うあまりに、国政のことまで気が回らなかったことも作用しているようなのだ。
ベルルスコーニといえば、ブンガブンガ・スキャンダルに象徴されるセックス・スキャンダル、そして巨額な収賄事件など、とかく黒いうわさに付きまとわれてきた。
イタリア人は基本的にはそんなことに目くじらを立てるような国民ではない。だが首相が職務を怠り、その結果国民の生活を苦しくするようだと、決してだまっていはいない。ベルルスコーニが笑っても、国民が笑うとは限らないのだ。(写真はEconomistから)
関連記事:
ベルルスコーニ、ピンチか?
ベルルスコーニついに訴追:セックス・スキャンダルのツケ
ベルルスコーニのハーレム「ブンガブンガ」BungaBunga
コメントする