今年のノーベル平和賞は三人の女性に与えられた。リベリア大統領エレン・サーリーフ女史、同じくリベリアの平和活動家リーマ・ボウイー女史、そしてアラブの春運動を導いてきたイエメンの人権活動家タワックル・カルマン女史だ。
彼女らにノーベル平和賞を授与した理由を、ノルウェイ・ノーベル賞委員会のヤーグラン委員長は次のように語った。"we cannot achieve democracy and lasting peace in the world unless women obtain the same opportunities as men to influence developments at all levels of society."(WPによる)
世界中で女性たちの権利がないがしろにされている現実がある中で、彼女らの勇気ある戦いは、女性の権利確立に向けて大きな意義を果たしてきたというわけだ。
サーリーフ女史は2006年にアフリカでは初の女性大統領になって以来、長引いた内戦によって引き裂かれた国民に融和をもたらし、「平和の安定と、経済的・社会的発展の促進、さらに女性の地位の強化のために尽くしてきた」
リベリアでは総選挙を間近に控えて、今回の女史の受賞が政治的に利用されることへの不安の声も聞かれるようだが、ノーベル賞委員会では、女史の受賞はあくまでも過去の実績にたいしての評価に基づくものだとかわしている。
ボウイー女史はリベリアの内戦を終結させるための活動が評価された。その中で女史は女性の力を最大限に活用した。たとえばキリスト教徒とイスラム教徒の対立をやめさせるために、女性たちにセックス・ストライキを呼びかけたことなどだ。女性の声に説得された男たちが、醜い争いをやめて、共存の道を選んだのである。
カルマン女史は、2007年に「束縛されない女性ジャーナリスト」という人権団体を結成して以来、一貫してイエメンのサレハ政権を批判する運動を続けてきた。イエメンにアラブの春が沸き起こったことの背景には、彼女の力強い活動が作用していた、ノーベル小委員会ではそのように評価して、今回彼女に平和賞を贈ったという。
ノーベル平和賞の110年にわたる長い歴史の中で、女性の受賞者は12人しかいない。その中にはマリー・テレサやジェーン・アダムスなどの博愛主義者、ケニアの環境保護活動家ワンガリ・マータイなどがいるが、純粋に政治的な活動を評価されて受賞したのは今回の三人が初めてである。
なお、昨年劉暁波氏のノーベル平和賞受賞に抗議して、中国が俄にでっち上げた孔子平和賞については、一度限りで廃止ということになったそうだ。もらいたがる人がいないというのが理由のようだ。エセ平和賞が長続きしないのは仕方のないことだ。(写真は右から、サーリーフ、ボウイー、カルマン:WPから)
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