シティグループの株主総会で役員報酬案が否決される

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米金融大手シティグループの株主が4月17日に、パンディット最高経営責任者(CEO)に1500万ドルの報酬を支払う案を株主総会で否決したと、ロイターが伝えている。この報酬案は、CEOの報酬を金融危機以前の水準に戻そうとするものであったが、55パーセントの株主が待ったをかけた。理由は、シティグループの業績が業界基準を達成してこなかったというものだ。

もっとも、企業業績に比較して役員報酬が高めだという不満はシティグループに限らないそうだ。多くの企業で、CEOの報酬は企業の業績の伸びよりもずっと大きな上昇を続けている、と専門家はみている。そうした動きに対して、株主たちは以前ほど寛容ではなくなってきている、ということのようだ。

今回のような事態が起こったことの背景には、2010年の金融規制改革がある。この改革で、株主は企業の役員報酬に関する投票権を取得した。それには法的な強制力はないとされるが、やはりそれを軽視するわけにはいかないだろう。

昨年は、役員報酬案が否決された例は少なかったが、それは法の改正後間もなくで、投資家たちに準備をする余裕がなかったからだと思われている。今年は、多くの機関投資家が、役員の法外な報酬に待ったをかける動きを強めているようだ。

かつては金融機関を中心に、法外な役員報酬を支払う動きが広がっていたが、金融危機を契機にして、そうした動きにはストップがかかるのだろうか。明確な展望は得られないが、ここ数年の間は、法外な役員報酬は株主の理解を得られない傾向が強まると思われる。やはり、世の中の常識を逸脱した法外な報酬は、バブル期のような加熱した経済のもとでこそ導入されもしたのだろうが、よくよく考えれば10億円を超えるような役員報酬は、一企業の運営に対する褒美としては高すぎるというものだ。

昨年暮れに起こった「ウォールストリートを占拠せよ」では、大企業の役員報酬が異常に高いこともやり玉に挙がった。それ自体は健全な意見といえる。その健全な意見に、一般の株主も目覚めたのではないか。(写真はロイターから)






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このページは、が2012年4月20日 20:30に書いたブログ記事です。

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