A.I.Gが経営陣に巨額のボーナス

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アメリカ流資本主義のルールにはわけの分らぬところが多い。とりわけこのたびの金融危機をめぐっては、筆者の理解を超えた事柄が起こる。政府から1700億ドルのベイルアウト資金を受けたA.I.Gが、自社の経営陣に対して巨額のボーナスを支払うつもりだなどという話を聞くと、理解できないというより、腹立たしい気持ちにもさせられる。

AIGの計画によれば、トップの経営陣および6400人の中間管理層に対して、この春に合計1億6500万ドルのボーナスを支払うという。この中には今回の経営危機を引き起こした当の責任者たちも含まれている。

この計画をワシントン・ポストがすっぱ抜くと、さすがに政府関係者はびっくりしたらしく、ガイトナー財務長官がただちにAIG幹部を呼び寄せて、計画の撤回を求めた。

だがAIGはなかなか政府のいうことを聞かない。彼らの理屈によれば、このボーナスは、経営危機が表面化する前に約束されたものであるから、今になって反故にするわけにはいかないというのだ。それにいったん約束したことを撤回すると、優秀な人材に逃げられてしまい、会社の将来のためにもならないなどと、変な理屈をこねて、政府側の求めに抵抗しているようだ。

発足したばかりのオバマ政権は、この問題の処理を誤ると、国民から深刻なしっぺ返しを受けるだろうと十分に承知して、AIGとの交渉に当たってはいるようだ。しかし、力ずくで計画を撤回させることもできない。アメリカの契約ルールに基づけば、AIG社は経営陣や社員との間でとりかわしたこのボーナスを支払うべき、法的な義務があるというのだ。

それにベイルアウト資金を交付する際に、今回の事態を見越したような条項を盛り込んでいなかったので、交付要綱をたてにとって、ボーナスの支払いをやめさせるわけにもいかない。政府は仕方なく、ボーナスの支払いを認めたうえで、経営責任者らが自発的にそれを返上するような方向にもっていきたいと考えているようだ。

それにしてもおかしなことがまかり通るものだ。

AIGの経営者たちは、自分たちの責任で会社を傾かせたのに違いあるまい。その尻拭いのために巨額の公的資金を受けたわけだ。その金はみな税金でまかなわれている。金に色がついているわけではないから、この経営者たちが巨額のボーナスを受け取ったとしたら、国民の多くは、自分たちの税金で無能な連中にボーナスをくれてやったと思わずにはいられまい。

自由な資本主義経済とは、本来自己責任に基づく社会のことをいうはずだ。事業に成功したら、その利益を享受するのに誰も文句を言わない代わりに、失敗したら、その後始末は自分でする。これが基本的なルールだ。

だがAIGの経営者たちは、失敗の付けは全部他人に回して、自分たちはちゃっかりとボーナスを懐にする。

こういうやり方がまかりとおる社会を、なんと呼んだらいいのだろうか。


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    Hoeveel kan ik lenen? (hypotheek). Wat worden mijn maandlasten? (hypotheek) ... Hoeveel hypotheek heb ik nodig? Hoe hoog is de boete die ik nu zou moeten

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    >こういうやり方がまかりとおる社会を、なんと呼んだらいいのだろうか。

    やはり、(何でもやりたい放題の)自由主義社会、じゃないでしょうか。

    ガイトナーはじめ、政府には同じ穴のムジナが多すぎますねぇ。
    グリーンスパンなど、退職金ゼロだったのかどうか?遡ってむしり取るべきでしょう。

    150年前の西部劇時代ならば、民衆がトッ捕まえてリンチ、死刑。

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