2008年に独立宣言をしたコソヴォで初の総選挙が行われ、ハシム・サチ Hashim Thaci 首相(上の写真:AFP提供)の与党コソヴォ民主党PDKが33.5パーセントの得票で第一党になり、勝利宣言をした。しかしこれに対して、野党からは不正選挙を糾弾する動きがあがり、また国際社会の目も厳しい。
そんななかで、ヨーロッパ委員会の出したレポートが衝撃的な事実を明らかにした。ハシム・サチは内戦時代の1990年代に、セルビア人や囚人たちを対象にして、臓器移植で金を稼ぐことを目的に、彼らの腎臓をえぐり出すなど、組織的な殺人行為を行っていた、また麻薬の密輸も行っていた、というものだ。
これらの事実は従来も問題になったことはあったが、今回はそれを裏付ける証拠が得られたと、レポートを作成したディック・マーティ Dick Marty はいう。
とりわけ麻薬の密輸については、密売者から運上金を巻き上げる形で膨大な利益を上げていたが、アメリカはこのことを知りながら看て見ぬふりをした。正義より地域の安定を優先したということらしい
この告発に、サチはでっち上げだと反論しているが、その正当性に大きな傷がつくことは避けられないだろうと、大方の事情通は見ているようだ。
さて単独では政権を担えないPKDは、何とか連立相手を見つけたいところだが、いまのところめどはついていない。最大野党のコソヴォ民主同盟は選挙のやり直しを求めている。
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