東日本大震災の被災地に、医療チームの一員として支援に入った看護婦さんのブログが、被災地の人々を中心に多くの人に読まれている。しかもこのブログは、英語に翻訳され、それがきっかけで世界中の人々に感動を以て受け取られるようにもなった。筆者がこのブログの存在を知ったのも、英紙ガーディアンの記事を通じてだった。'Do not cry': a nurse's blog brings comfort to Japan's tsunami survivors Justin McCurry guardian.co.uk,
ブログの名称はJKTS、作者は匿名だ。自己紹介代わりに「被災地へ医療スタッフとして行ってきました。 短い間でしたが貴重な体験となりました。」と記載されている。英訳版の訳者もまた匿名だ。涙を流しつつ、時には声を上げて泣きながら、訳したと書いている。
この看護婦さんは、3月15日に結成された東京の医療チームに加わり、翌3月16日から3月23日までの一週間、岩手県陸前高田市の被災現場に入った。記事がカバーしているのは、その一週間の出来事だが、献身的に働く看護婦さんの息遣いと、被災した人々との心の交流が、自分で経験したことのように伝わってきて、読者はそこに永遠に通じるものを感じるようになるはずだ。
やはり、一人の人間が、一人の人間として、ほかの人間のために、自分を無にして働く、そうした姿には、人間としての原点のような輝きがある。
この看護婦さんが、医療活動の間に、自分に言い聞かせ続けた言葉は、「絶対に泣かない」というものだった。彼女はその言葉を、医療チーム結成の場で、チームの責任者から聞かされた。
「現場ではどんな状況下においても絶対に泣かないこと。
私達は同情しに行くんじゃない。看護、医療を提供しに行く。あなたたちが泣きたい気持ちなんかより
現地の方々はどんなに泣きたいか。こんなに裕福な東京医療チームの涙なんて現地の人には迷惑や嫌味だからね』
へたれな私はもうこの時点でドヨーンとした思いでした。」
しかし彼女は陸前高田の被災現場ではドヨーンどころが、きらきら光り続ける存在だったに違いない、瓦礫の中で光り続けた彼女のような光が、どれほど多くの人々の希望となったか、筆者はそのことを思うと、心の騒ぐのを感じる。
とにかく読者の皆さんにも、このブログを直接読んでもらいたいと思う。
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