陶淵明「飲酒二十首」から其七「秋菊有佳色」を読む。
飮酒其七
秋菊有佳色 秋菊 佳色あり
裛露掇其英 露を裛みて其の英を掇り
汎此忘憂物 此の忘憂の物に汎べて
遠我遺世情 我が世を遺るるの情を遠くす
一觴雖獨進 一觴獨り進むと雖ども
杯盡壺自傾 杯盡きて壺自ら傾く
日入群動息 日入りて群動息み
歸鳥趨林鳴 歸鳥林に趨きて鳴く
嘯傲東軒下 嘯傲す東軒の下
聊復得此生 聊か復た此の生を得たり
秋の菊がきれいに色づいているので、露にぬれながら花びらをつみ、この忘憂の物に汎べて、世の中のことなど忘れてしまう、杯を重ねるうちに、壺は空になってしまった
日が沈んであたりが静かになり、鳥どもは鳴きながらねぐらに向かう、自分も軒端にたって放吟すれば、すっかり生き返った気持ちになるのだ
忘憂の物とは酒のこと。この酒に菊の花を浮かべて飲むことは中国古来の慣習であった。
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