栃木・県庁堀:水彩で描く風景

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栃木市の市域の西部に、巴波川の水を分った小さな水路がある。県庁堀と呼ばれている。その所以は、明治の初期ここに栃木県庁が置かれていたことにある。当時各県の県庁は旧藩の城郭内に置かれることが多かったが、商都であった栃木には城郭などなかったため、わずかに堀を穿ってそれらしき権威を演出したのかもしれない。

栃木県庁が城下町宇都宮に移った後、その跡は町役場になり、現在では栃木市役所が領している。

絵にある建物は大正年間に栃木町役場として建てられたものである。大正9年4月起工、同10年11月竣工、総工費9万4千800円とある。うち4千数百万円は用地費となっている。恐らく新たに買い足した部分であろうが、その規模面積については詳らかにしない。

建物の構造外観は、大正年間に流行した木造洋館と共通なものである。時計塔を戴いた急な勾配の屋根、高い天井と垂直に伸びる窓の線、当時の日本人が抱いた西洋式建築というものの典型的なイメージが伺われる。

この建物は栃木市役所として、今でも用いられている。表札に商工観光課とあった。竣工以来すでに80年がたっているのであるから、建築物の寿命が短いこの国にあっては驚くほど長命であるといわねばならない。

周辺は樹木が多く、巴波川の水と点在する古家ともども、全体として閑静で風雅な印象をかもし出している。かつて地方の中核都市だった町ならでは見られぬ、歴史に裏打ちされた、さびのある風景である。(平成14年8月記)





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