上の写真(時事通信提供)は、硫黄島を訪問して、旧日本軍兵士の遺骨の前でひざまづく菅首相。硫黄島には戦死したまま野ざらしになっている遺骨が、いまだに一万体以上残っている。この他、フィリピンやマーシャル諸島にも、収集されていない遺骨が多数残されている実態がある。
戦後60年以上もたつというのに、いまだに多数の戦死者が弔われることなく放置されているのは、いったいどういうことか。これでは国のために死んでいった多くの英霊が、いつまでも安らぐことがない。
2005年には、当時の小泉純一郎総理大臣が硫黄島を訪問している。そのときにも、遺骨の早期収集を云々していたはずだ。それなのに、実際には一向進んでいないということを、国民の多くは新ためて知らされたわけだ。
戦争で死んでいった兵士たちを弔うことは、国家運営のうえでも、最優先の課題だろう。戦死者の霊もまともに省みないような国は、国とはいえない。そんなことは、どんな日本人でもわかっているはずなのに、何故進まないのか。
アメリカは、ベトナム戦争で死んだ兵士たちの遺骨収集に、国家の最優先課題として取り組み、終戦後10年以内にはすべての遺骨を収集し、しかもそれを個人ごとに分類整理して、一人分の遺該として再現したうえ、家族に引き渡している。
ところが日本の政府は、遺骨を長い間野放しにしているばかりか、収集した遺骨を復元して家族に返すことを行っていない。十把ひとからげにして焼骨しなおし、それを戦没者慰霊堂などの施設に合葬しているだけだ。
これでは英霊たちは、二重に浮かばれぬではないか。野ざらしになったままの遺骨は、やろうと思えば今すぐにでも、それも全部を即刻収骨できるはずだ。それをしないのは、どういう魂胆からなのか、筆者などには到底理解しうることではない。
英霊をいつまでも眠れないままにしておいてはいけない。戦後65年以上も、煩悩の犬の如くに、無人の荒野をさまよい続けてきたのだ。
菅さんは今回の硫黄島訪問を、人気取りの茶番劇に終わらせてはならぬ。
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