憎悪の応酬:チェチェン人女性を殺害したロシア人射殺される

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チェチェン紛争の時代に、チェチェン人女性に対して誘拐殺人を犯したとして、10年の禁固刑を受け、目下保釈中だったロシア人の男が、白昼のモスクワ市内で何者かによって射殺された。警察当局はチェチェン人による犯行の可能性が強いとして捜査している。

殺された男の名はユーリー・ブダーノフ(47)、もと戦車部隊の隊長だった。ブダーノフは2000年頃チェチェンに派遣されていたが、そこで当時18歳のチェチェン人女性エルザ・クンガーエヴァを自宅に急襲し、そのまま連れ去った後、彼女に暴行を加えた上で絞め殺した。そのときの男はかなり酔っていたという証言もあるらしい。

男は犯行の二日後に逮捕されたが、すぐに釈放された。当時のチェチェン紛争の場ではこうした事件は日常的に起こっており、別に珍しいことではなかったし、神経質になることでもなかったのである。

だがさすがに法の正義を求める世論に押され、ロシア当局は改めて公判を開き、2003年にブダーノフに有罪判決を下した。刑罰の内容は、10年間の禁固という、殺人事件にしては軽いものであった。あのホドルコフスキーは、経済犯に問われて合計14年間の判決を受けたことを思い浮かべれば、不当な量刑だといわれても仕方がないところだ。

しかもブダーノフは、2009年に仮釈放された。入獄の期間はわずか6年間だ。このことにチェチェン人が怒りを覚えたとしても無理はないといえる。しかしチェチェン人がやったという確証は、いまのところはない。

ブダーノフは頭に4発も弾丸を打ち込まれていた。これは強い憎悪を感じさせる。犯人はブダーノフを周到に付けねらった挙句に、スキをみて襲い掛かったと見られている。

なお殺されたエルザさんの両親は現在ノルウェイに住んでいる。チェチェンにいては、いつまでも憎しみの連鎖から抜け出せないと思って脱出したのだという。父親のヴィーザさんは、娘の遺体を写した写真を今でも大事に持っているが、その写真に写されたエルザさんは、裸体にされた全身にあざがついていた。ブダーノフがタバコの火を押し付けた跡だとされる。(写真はAP)

(参考)Russian colonel who killed Chechen woman shot dead in Moscow Chechnya militants suspected of revenge against Yuri Budanov, who tortured and strangled Elza Kungayeva in 2000 BY:Tom Parfitt in Moscow guardian.co.uk,


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