家は逆旅の舍なり(陶淵明:雑詩其七)

| コメント(0) | トラックバック(0)

陶淵明の詩から雑詩其七「家は逆旅の舍なり」を読む。


雜詩其七

  日月不肯遲  日月 遲つことを肯んぜず 
  四時相催迫  四時 相ひ催がして迫る
  寒風拂枯條  寒風 枯條を拂ひ
  落葉掩長陌  落葉 長陌を掩ふ
  弱質與運頽  弱質 運とともに頽れ
  玄鬢早已白  玄鬢 早や已に白し
  素標插人頭  素標 人頭に插さば
  前途漸就窄  前途 漸やく窄に就く
  家爲逆旅舍  家は逆旅の舍なれば
  我如當去客  我は當に去るべき客の如し
  去去欲何之  去り去りて何くに之かんと欲する
  南山有舊宅  南山に舊宅あり

月日は待ってくれない、季節はこもごも移り変わる、寒風が枯れ枝を払い、落葉があぜ道を埋める季節になった

もともとひ弱いからだがますます衰え、髪もすっかり白くなった、こう白髪が目立つようになっては、行き先も長くはないだろう

この世は仮の宿なのだから、自分にもそろそろ辞退するときが来たようだ、ここを去ってどこへ行くべきか、幸いなことに南山に旧宅がある


この世を逆旅すなわち仮の宿にたとえ、そこから過ぎ去るべきときがきたことを歌う、逆旅という言葉は、芭蕉の「奥の細道」にも出てくる


関連リンク: 漢詩と中国文化陶淵明雑詩十二首


  • 五柳先生伝(陶淵明:仮想の自叙伝)

  • 責子:陶淵明の子どもたち

  • 陶淵明:帰去来辞

  • 帰園田居五首:田園詩人陶淵明
  • 桃花源記 :陶淵明のユートピア物語

  • 閑情賦:陶淵明のエロティシズム

  • 形影神(陶淵明:自己との対話)

  • 擬挽歌詩:陶淵明自らのために挽歌を作る

  • 自祭文:陶淵明自らを祭る

  • 飲酒二十首
  • 中国古代の詩:古詩源から

  • 秋瑾女史愛国の詩:寶刀歌





  • ≪ 子有るも金を留めず(陶淵明:雜詩其六) | 漢詩と中国文化 | 代耕は本より望みに非ず(陶淵明:雜詩其八) ≫

    トラックバック(0)

    トラックバックURL: http://blog.hix05.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/519

    コメントする



    アーカイブ

    Powered by Movable Type 4.24-ja

    本日
    昨日

    この記事について

    このページは、が2007年12月18日 19:22に書いたブログ記事です。

    ひとつ前のブログ記事は「早春の賦:ウィリアム・ワーズワース」です。

    次のブログ記事は「代耕は本より望みに非ず(陶淵明:雜詩其八)」です。

    最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。