アメリカの金融危機が世界に広がる

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アメリカの金融危機が泥沼化の様相を見せ、その影響が国境を越えて世界中に広がった。各国の株式市場は連日大幅な下落を続けている。日本も例外ではない。ニューヨークのダウ平均価格は8000ドル前後まで落ち込み、東京市場でも8000円前後まで落ち込む異常さだ。朝日新聞によれば、9月以降の一ヶ月ほどの間に、世界中で1,400兆円の金融資産が消失したという。

この事態に対して各国政府はさまざまな対策を打ち出しているが、今のところ確かな効果は上がっていない。アメリカは先日公的資金による不良資産の買取りを、議会の大反対を押して決定したばかりだが、いまやそんな策では手ぬるいという見方も生じている。イギリスではさらに踏み込んで、金融機関に対して直接公的資金を注入する政策を実施するほか、一部銀行の国有化にも乗り出した。

ドイツやロシアでも、資金繰りの悪化した金融機関に対して、緊急融資や資金援助を行ない、フランスやベネルクス諸国でも、一部銀行の国有化に踏み切る構えだ。日本では今のところ、大手金融機関の表立った破綻騒ぎは報道されていないが、大和生命が破綻するなど、その兆候がないわけではない。

というのも、大和生命の破綻には、外国の金融機関の破綻と共通するところがあるからだ。会社側の説明によれば、今回の破綻の原因は、資産の運用先として選んだ海外の金融商品が、今回の金融危機で大幅に値下がりしたことにあるという。資産が急速に縮小すれば、バランスシートがマイナスの方向にぶれ、その結果資本が減少する。今回世界中の金融機関を襲ったバランスシート崩壊型の破綻と同じメカニズムである。

日本の金融機関は欧米ほどにはマネーゲームにのめり込んでいなかったとされるから、俄かにバランスシートの崩壊に直面する企業は少ないだろうと推測されている。それでも金融危機がさらに深まり、それにつれて株価が引き続き下落するようだと、金融機関をはじめ多くの企業は巨額の損失を抱えることとなり、深刻な資本不足に陥るだろう。とくに金融機関の場合には、資本の不足は破産につながりうる。

大和生命と同じようなパフォーマンスをしてきた企業はもちろん、普通の日本企業もいずれ、金融危機の連鎖に巻き込まれないとも限らない。

金融危機は各国の実体経済にも深刻な影響を及ぼしている。金融機関が資本不足を理由に貸し渋りに走っているためだ。このままでは市場に金が出回らなくなり、産業活動が窒息に追い込まれる。それは本格的な恐慌が発生することを意味する。

日本経済は今のところ、そこまではいっていないようだが、急激なドル安のあおりを受けて、自動車や電気製品など輸出産業に深刻な影響が及んでいる。

このままでは負の連鎖をとどめることができないかもしれない。各国が強調して市場をコントロールする方策を確立する必要があるだろう。


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