蘇軾の五言古詩「東坡八首其四」(壺齋散人注)
種稻清明前 稻を種う清明の前
樂事我能數 樂事 我能く數へん
毛空暗春澤 毛空 春澤暗く
針水聞好語 針水 好語を聞く
分秧及初夏 秧を分ちて初夏に及び
漸喜風葉舉 漸く喜ぶ風葉の舉がるを
月明看露上 月明らかにして露の上るを看る
一一珠垂縷 一一 珠 縷を垂る
清明の前に稲の種をまき、これから行う楽しい仕事を、指を数えて待つ、雨模様の空に春沢は暗く、水面から針のような稲の芽が出たと、人々が知らせてくれる
稲の苗を植え付けると初夏になり、稲の葉が風に揺らめくのを喜びみる、月が明るい夜に稲の葉に露が落ち、その一つ一つが玉を連ねたように見える
秋來霜穗重 秋來 霜穗重く
顛倒相撐拄 顛倒 相ひ撐拄す
但聞畦隴間 但だ聞く畦隴の間
蚱孟如風雨 蚱孟風雨の如きを
新舂便入甑 新舂便ち甑に入る
玉粒照筐呂 玉粒筐呂を照らす
我久食官倉 我久しく官倉を食む
紅腐等泥土 紅腐泥土に等し
行當知此味 行くゆく當に此の味を知るべし
口腹吾已許 口腹吾已に許す
秋が来ると稲穂が霜を浴びて重くなり、頭を垂らして互いに支えあう、田んぼのあぜ道には、バッタの群れが風雨のように飛び跳ねている、臼で搗いたばかりの米を甑に入れると、玉のような米粒が光っている、
自分は久しく官倉を食んできたが、そのコメは泥土のようにまずかった、そのうち自分で作ったコメを味わうことができるだろう、もう腹いっぱいになったような気持ちだ
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