仁淀川 青の神秘

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仁淀川は、四国一高い石鎚山に源流を発し、土佐市周辺で太平洋に流れ込む、全長124キロメートルの川である。吉野川、四万十川とならぶ四国の代表河川であるとともに、日本一きれいな川として知られる。そのきれいな川の美しい素顔を、NHKの特別番組が伝えていた。題して「仁淀川 青の神秘」

仁淀川が日本一きれいといわれる理由はその透明度だ。40メートルさきまで見通せるという。その透明さの秘密は、四国山地の自然が豊かであることと、傾斜が急で川の流れが速いことにある。なにしろ源流から河口まで、わずか二日間で流れてしまうのだというから、その速さの程がわかろうというもの。同じような事情で、西隣を流れる四万十川も透明度が高い。

また、仁淀川の水は青い。太陽の光を受けるとその青さがひときわ輝く。これは水がきれいなことの賜物だ。水が濁っていては、青くは光らない。番組では、この水の青さの様々な表情を追っていた。

まず源流近くの山地でみられる霧氷。この霧氷を作る水滴が仁淀川の原水の一部になる。これが陽光を浴びるとプリズムのようになって、七色の光を帯びる。まさに氷の宝石といえる。この氷の宝石が溶けて仁淀川の水になるわけだから、仁淀川の水はきれいなのだ。

次に、仁淀川は水がきれいなだけでなく、岩や石もきれいだ。仁淀川のあちこちに緑色片岩という石が見られるが、これもまた光って青く見える。そのわけは、表面がみがかれたようにつるつるとしていることにある。河の流れが急なために川底の岩が水で磨かれてつるつるになるのだ。

川が澄んでいるから、魚を目視しながら漁ができる。これを地元ではしゃくり漁と呼んでいる。魚の動向を目でおいながら、彼らを疑似餌でしゃくりあげるのだ。

澄んだだ水は、子どもたちや遊び好きの大人たちをひきつける。仁淀川は遊びの空間としても日本有数の自然空間なのだ。川ガキと呼ばれる子供たちが、岩の上からダイヴィングしたり、水の中を泳ぎ回る。水は流れが速いから、うっかりしていると流されてしまう。こどもたちは水の抵抗と戦いながら成長していく。

春には桜の花が散って花筏となって流れ、秋には鮮やかに色づいたもみじが水面をあやしく染める。光のプリズムのほかに、自然の色の祭典が繰り広げられるわけだ。

川の水は河口にたどり着くと、海水と激しくぶつかり合う。その時に川の水は青く輝きながら舞い上がる。そこに太陽の光が反射すると巨大な水のプリズムとなって、水しぶきが七色に光る。

川が海とまじりあい、海が空と溶け合う、まるでアルチュール・ランボーの詩の世界のようだ。

ところで、番組はこの川を清流と呼んでいたが、河川工学の世界では、清流とはダムのない川を称していうことになっている。その意味での清流は、日本では四万十川しかない。しかし仁淀川は、その四万十川より清らかに澄んでいる。





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このページは、が2012年3月27日 20:29に書いたブログ記事です。

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