フラミンゴのゲイ・カップル

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フラミンゴにもゲイのカップルがあるというので驚いた。しかもそのゲイのカップルが雌雄一対のフラミンゴのカップルから卵を奪い、雛をかえして育てているというから、二重の驚きだ。

AFPの伝えるところによれば、ブリストル近くの野鳥園に生息するフラミンゴの中に、オス同士のカップルがいて、もう6年も連れ添いあっているという。園では彼らをフェルナンドとカルロスと名づけ、その行動を観察してきたところ、他のフラミンゴに卵が生まれると、親鳥を巣から追っ払い、自分たちで卵を抱くのだそうだ。なかなか念が入った抱き方で、雛をかえす成績も良かったという。

最近も、何かの理由で親鳥に見捨てられた卵があったところ、彼らはすかさずその卵を自分たちの養子にして育て始めたという。雛には、咽喉の奥でミルク状の餌を作って与えるらしい。

こんなところから、彼らは野鳥園の中でも有名なカップルとなり、その子育て能力の高さから、代理親として活躍が期待されているのだそうだ。

それにしても不思議なことだ。鳥の世界でもゲイのカップルが存在することなど、これまで知られていなかったのではないか。しかもそのカップルが子育て行動を示すなど、想像も及ばなかったことだ。

霊長類の中には、メスの獲得に失敗したオスが、他のオスに対して同性愛的行動に出る者がいることは知られている。しかしこれは性欲の捌け口を求めるための止むに止まれぬ選択であって、長続きするものではないと考えられてきた。

霊長類以外の哺乳類や、鳥類以下のレベルの動物にあっては、同姓同士のカップルが成立したとの報告はこれまでなかったのではないか。

これまでの常識では、同姓同士が恒常的なカップルを成立させるのは、動物の中でも人間に特有な現象だと思われていた。ゲイのカップルはきわめて人間的な営みだとされていたのである。

フェルナンドとカルロスがどういういきさつからゲイのカップルとなったかは、明らかではない。たまたまメスの獲得に失敗したというのでは、6年もの長い間連れ添ってきたことの理由にはならない。やはりこの2羽を結びつける運命の固い絆があったのだろう。

鳥類は動物の中でもカップルの絆がずば抜けて強い。いったんカップルが成立すると、生涯をともにし、片方が死んだ後も、他の個体とはカップルを作らない。こんな愛の本能が、フェルナンドとカルロスのフラミンゴのカップルに微妙に働いたのかもしれない。

〔参考〕Gay flamingos pick up chick : AFP


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