今年2010年のノーベル平和賞は、中国の人権活動家で目下投獄中の劉曉波氏Liu Xiaobo (上の写真:Economist 提供)に授与された。
劉曉波氏がノーベル平和賞を授与する意義は大きい。いまや大国意識を持つようになった中国にとって、劉曉波のような反体制知識人とどう向き合うか、それが真の近代国家としての試金石となろうからだ。
だが氏の受賞の報道に接した中国共産党の反応は、近代国家を統治する政党の反応とは到底言えないものだった。共産党政権はノーベル平和賞の委員会を非難するとともに、その背後にあるノルウェーとの関係見直しにまで言及し、この受賞を呪詛する始末だった。
劉曉波氏は、共産党政権にとっては、目の敵であり続けた。天安門事件の際に、学生側に立って体制側と対立したことで「反革命罪」に問われ投獄された。その後2008年には、プラハの77憲章にならった「08憲章」を起草し、人権の擁護と共産党による一党独裁を批判した。それが「国家政権転覆扇動罪」に問われて、11年の刑を言い渡され、現在服役中である。
ノーベル賞の授賞式は12月10日に予定されているが、氏が出席できるかどうかは、はなはだ心もとない。共産党政権はいまのところ強い拒絶反応を示し、受賞の事実そのものをも国民に知らせとようとしていない。NHKはじめ外国のメディアも遮断している始末だ。
だが、インターネットが地球規模で普及した世の中にあって、そうした情報統制は成功するものでもないし、情報統制の上に成り立った独裁政治も長続きするわけではない。中国共産党政権は、そんな自明のことを、はっきりと受け入れるべきだ。
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