被災者の埋葬:東日本大震災

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この写真を見て、筆者は心を激しく揺さぶられるのを感じた。

この写真がとどめている光景は、大震災で亡くなった被災者たちを集団埋葬しているシーンだ。日本人にとっては、余りにもショッキングな出来事に見える。遺体を土葬すること自体異常なのに、棺を並べて、集団で埋葬する、日本人の死生観からは余りにも逸脱している。

被災地の状況はこれほどすさまじいのかと、認識を新たにさせられる。

災害発生から10日以上たって、遺体が腐敗し始めた。それに対して、火葬場の能力は限られている。苦肉の策として土葬を選ばざるを得ないが、土葬しようにも利用できる土地が限られている。勢いこのように棺を並べて埋めるしかない。

この写真に写っているのは、宮城県の東松島市での出来事だ。東松島市は4万5000人の人口のうち、680人が死亡し、500人が行方不明になっている。市営火葬場は一日当たり4体しか火葬できない。そこで市の当局は、遺族の同意を取った上で、このように集団埋葬する決意をした。

22日に24体が埋葬された。この写真は二日目の23日の模様を写したものだ。

自衛隊員たちが厳粛な雰囲気の中で棺をひとつひとつ墓穴に横たえていく。会葬した100人の遺族たちが、それぞれ遺体に別れを告げ、三途の川の渡し賃を死者に手渡す。僧侶はいないが、傍らには簡易祭壇が設けられ、焼香できるようになっている。

会葬者の数ほど、ドラマがある。そのドラマをニューヨーク・タイムズが紹介していた。As Tsunami Robbed Life, It Also Robs Rite of Death

そのうちの一人木村富士美さんは、夫を失った悲しみを次のように語った。

"In the beginning, I thought we were lucky to be alive. But as the days went on, I began to face reality," she said. "Now it's been 12 days, and I still can't accept it -- I can't accept the fact that my husband is gone. He was a very kind man. He loved his kids, and he took care of them, and the kids really loved him."

筆者が接した別の記事では、一人の女性の遺族の様子が書かれていた。二人の小さな女の子たちが、母親の埋葬されるのを目の前にしてすすり泣いている、その子たちを父親がきつく抱きしめる。

子供たちは聞き分けもなくすすり泣く、その子らを抱きしめるお父さんの目はうつろだ、子供たちもお父さんも、自分たちの身に降りかかった事態がまだ納得できないでいるのだ。


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このページは、が2011年3月24日 20:48に書いたブログ記事です。

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