世界情勢を読む


米誌タイムは電子版で、世界中で今年最も影響力を行使するであろうと予想される人物100人について特集記事を発表した。同誌が最近毎年特集しているもので、今回で5回目になる。それによると、今年の影響度ナンバーワンはチベットの精神的・政治的指導者ダライ・ラマだということだ。

オリンピックの聖火リレーが始まった。この機会を利用して中国のチベット弾圧に抗議する人々が、イギリス、フランスの両国で聖火リレーに対するパフォーマンスを行い、アメリカでは混乱を恐れた当局が聖火リレーそのものを人目につかないやり方で実施するなど、異常な事態が起きている。中国政府はこれに対して、妨害を取り締まるよう関係国に強硬に申し入れているが、自国民に対しては、リレーは厳粛に行われたなどと、事実をそのままには知らせていない。

3月4日にチベットのラサで発生した暴動騒ぎは、初期の映像が外国人記者によって世界中に発信されたため、俄然注目を浴びた。チベットでは最近中国政府への不満が高まっていると、かねてより報じられていたので、この暴動はその現われかと、世界中の耳目をそばだたせたというわけである。暴動はチベットの内部にとどまらず、四川や甘粛など周辺部のチベット人居住地区にも飛び火したようだ。

アジア諸国で仏教の社会的な影響力が急速に拡大しているそうだ。仏教徒の数の増加についていうと、中国では信仰の自由が一定程度保障されるようになった結果、いまや1億人に達するという。インドでは、仏教発祥の地にかかわらず、2001年にはわずか800万人に過ぎなかったものが、一気に3500万人に増えた。台湾も同じ時期に、550万人から800万人に増加するといった具合だ。

明日(3月2日)行われるロシア大統領選挙では、プーチンが後継に指名したメドヴェージェフの圧勝が当然視されている。ジャーナリストたちの関心は、大統領就任後のメドヴェージェフがいつまでもプーチンの傀儡でいるのか、それとも、かつてのプーチンがそうであったように、比較的早く庇護者から自立し、独立の道を歩むようになるか、この点に注がれている。

ペストは人類の歴史上もっとも猛威をふるった疫病である。14世紀のヨーロッパでは数回にわたって大流行し、全人口の3分の1が死亡した。そのすさまじさのほどがわかるだろう。ひとびとはこの病気を恐怖して黒死病と呼んだ。それは黒い悪魔が運んできた病気とか、または患者が全身黒くなりながら死んでいったということに基づいている。

先日ニューデリー郊外の都市グルガオン Gurgaon において、違法な臓器移植を手がけていた闇医療グループが摘発された。このグループはアミット・クマルという男が運営するもので、過去8年間ほどの間に、少なくとも500件の違法臓器移植を手がけてきたとされる。そのやり方は、ドナーをだましたり、脅したりして、強制的に臓器を取り出すというもので、きわめて悪質なものであった。

先日中国のテレビ番組の中で流された奇妙な光景が、中国人の間で波紋を呼んでいるそうだ。人気キャスターの某氏がオリンピック特集を報道している最中、その妻でやはり人気者のアナウンサーが突然画面に現れたと思うや、亭主からマイクを奪ってわめき始めたのというのだ。それも、亭主が浮気をして、その女に子どもを作らせたという内容だったので、画面を見ていた人々はみな唖然とした。おまけにその様子は早速「ユー・チューブ」にアップされ、ウェブ・ゴシップの種となった。

今年は北京オリンピックが開催される年だ。中国はその成功に国の威信をかけて、最終準備に取り組んでいるそうだ。かつて東京やソウルがそうであったように、オリンピックを開催することは、国際社会の中で一流国家の仲間入りすることを意味する。大方の高齢の中国人にとっては、自分たちが若い頃に、祖国が世界の一流国家入りすることなど考えられもしなかっただろう。

米誌タイムが恒例の Man of the Year に、今年(2007年)はプーチンを選んだ。地球温暖化対策の必要性を訴えてノーベル平和賞を受賞したアル・ゴア、世界中を熱狂させたハリー・ポッター・シリーズを17年かけて完成したローリングズなど、大きな話題を振りまいた人物には事欠かない年だったが、それらを抑えてプーチンを選んだ理由を、タイムは次のように説明している。

先日行われた韓国の大統領選挙では、大方の予想通り、野党ハンナラ党の李明博(イ・ミョンバク)が圧勝した。金大中(キム・デジュン)、ノ・ムヒョンと二代続いた民主党政権が終わり、10年ぶりに政権交代が実現するわけだ。

最近行われたロシアの下院選挙では、プーチンを比例候補の筆頭に据えた与党「統一ロシア」が圧勝した。改憲に必要な3分の2を上回る議席を得たことから、プーチンはこれを土台に憲法を改正し、自ら終身大統領になる道を開くのではないかとの憶測も流れている。

パリにホロコースト・ミュージアムがオープンしたのは2005年1月、第二次世界大戦中ナチスによってフランス国内からアウシュヴィッツに送られた11000人のユダヤ人の記録を後世に残すことが主な目的だった。その場所で今、ウクライナにおけるホロコーストを紹介する展示が行われている。

中国人の人口は13億人を数える。地球上に生きる人間の数は65億人であるから、実に5人に一人は中国人ということになる。

先日、エストニアのタリン中心部に据えられていたソビエト兵士の像が撤去されたことをめぐり、ロシアとエストニアの間で険悪なムードが高まったが、その直後からエストニアの政府機関や公共部門に対する猛烈なサイバー攻撃が発生し、インターネット社会エストニアは深刻な機能不全に陥った。

ボリス・エリツィン Борис Николаевич Ельцин が死んだ。76歳、死因は持病の心臓病だったようだ。これで、20世紀の世界史を彩った立役者が、もう一人いなくなった。

ヴラヂーミル・プーチンの独裁的体質は、かねてより指摘されていたことではあるが、最近は度を超したものになってきつつあるようだ。情報通の中では、プーチンはすでに一線を越えて、スターリン並の独裁者になったとする見解が強まっている。

アメリカ大統領ブッシュの信仰心は有名だ。信仰深い彼の姿は現在に生きるアメリカ人を象徴している。あらゆる点で地球の今をリードしているアメリカ人だが、こと信仰に限っては、彼らほど保守的な国民はない。

ガブリエル・ガルシア・マルケスはフィデル・カストロの親しい友人として知られている。「百年の孤独」と並ぶ彼の代表作「族長の秋」は、カストロのイメージに満ちているともいわれる。

当ブログではこれまでに、日本のワーキング・プア、アメリカの階層格差、アラブ世界の若者の結婚難などを取り上げてきた。これら格差の問題は、いづれも社会の隙間に生じた病理現象だが、放置しておくと国の未来を危うくする、厄介な問題である。

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