ブレイク詩集「無垢の歌」 Songs of Innocence
「無垢の歌」 Songs of Innocence は、ウィリアム・ブレイク William Blake 1757-1827 の詩集である。Nursery Rhymes の伝統を踏まえ、わらべ歌の新しい境地を開こうとしたものだ。
「無垢の歌」 Songs of Innocence は、ウィリアム・ブレイク William Blake 1757-1827 の詩集である。Nursery Rhymes の伝統を踏まえ、わらべ歌の新しい境地を開こうとしたものだ。
ウィリアム・ブレイク詩集「無垢の歌」より「羊飼い」The Shepherdの歌。壺齋散人訳。
ウィリアム・ブレイク詩集「無垢の歌」より「生まれた喜び」Infant Joyの歌。壺齋散人訳。
ウィリアム・ブレイクの詩集「無垢の歌」から「他の人の苦しみ」 On Another's Sorrow(壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「無垢の歌」から「スクール・ボーイ」 The School Boy (壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「無垢の歌」から「聖なる木曜日」 Holy Thursday(壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「無垢の歌」から「子守の歌」 Nurse's Song (壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「無垢の歌」から「笑いの歌」 Laughing Song (壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「無垢の歌」から「黒人の少年」の歌 The Little Black Boy (壺齋山人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「無垢の歌」から「古の吟遊詩人の声」 The Voice of the Ancient Bard (壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイク詩集「無垢の歌」から「こだまする野辺」の歌 The Echoing Green (壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「無垢の歌」から「煙突掃除の子」の歌 The Chimney-Sweeper (壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集{無垢の歌}から「神のイメージ」の歌 The Divine Image (壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「無垢の歌」 Songs of Innocence から 「不思議な夢」の歌 A Dream (壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「無垢の歌」 Songs of Innocence から「迷子になった女の子」の歌 The Little Girl Lost (壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「無垢の歌」 Songs of Innocence から「見つかった女の子」の歌 The Little Girl Found (壺齋散人)
ウィリアム・ブレイクの詩集「無垢の歌」 Songs of Innocence から「迷子になった男の子」の歌 Little Boy Lost (壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「無垢の歌」 Songs of Innocence から「見つかった男の子」の歌 The Little Boy Found (壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「無垢の歌」 Songs of Innocence から「揺りかごの歌」 A Cradle Song(壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「無垢の歌」Songs of Innocence から春の歌 Spring (壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「無垢の歌」 Songs of Innocence から「花びら」の歌The Blossom(壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「無垢の歌」 Songs of Innocence から「子羊」の歌 The Lamb 〔壺齋散人訳〕
ウィリアム・ブレイクの詩集「無垢の歌」 Songs of Innocence から「夜の歌」 Night(壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience は、「無垢の歌」の姉妹編として、5年後の1794年に発表された。その際、「経験の歌」の諸編は、「無垢の歌」とともに一冊にまとめられ、題名も「無垢と経験の歌」Songs of Innocence and of Experience とされた。したがって新しい版では、「無垢の歌」が第一部、「経験の歌」が第二部という構成をとっている。
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「始まりの歌」Introduction を読む。(壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「大地の答」 Earth's Answerを読む。〔壺齋散人訳〕
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「土くれと石ころ」The Clod & the Pebble を読む。〔壺齋散人訳〕
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「聖なる木曜日」 Holy Thursdayを読む(壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「迷子になった女の子」 The Little Girl Lost を読む。(壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「見つかった女の子」の歌 The Little Girl Found (壺齋散人)
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「煙突掃除の男の子」 The Chimney Sweeper の歌を読む。(壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「子守の歌」 Nurses Song を読む。(壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」Songs of Experience から「病気のバラ」 The Sick Rose(壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「ハエ」Little Fly の歌。(壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイク詩集「経験の歌」 Songs of Innocence から「天使」の歌 The Angel
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「トラ」The Tyger (壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」Songs of Experience から「愛らしいバラの木」 My Pretty Rose Tree (壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「ひまわりの歌」 Ah! Sun-flower (壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「ゆりの花」The Lilly の歌(壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「愛の園」 The Garden of Love (壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「小さなヴァガボンド」 The Little Vagabond (壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「ロンドン」 London (壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「人間の抽象」 The Human Abstract (壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「幼子の嘆き」 Infant Sorrow (壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「毒の木」A Poison Tree (壺齋閑話)
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「迷える少年」 A Little Boy Lost (壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「迷える少女」 A Little Girl Lost (壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「ティルザへ」 To Tirzah (壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイク William Blake(1757-1827) は、イギリスロマンティシズムの初期を代表する詩人にして画家である。彼の業績は詩と絵画を別々にしては考えられない。その詩の殆どは、挿絵を伴った絵本の形で出版されたし、また、詩も絵画もブレイクという芸術家が抱いていた世界観を、それぞれの形で表現したものといえるからだ。
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「スクール・ボーイ」 The School Boy (壺齋散人訳)
ウィリアム・ブレイクの詩集「経験の歌」 Songs of Experience から「古の吟遊詩人の声」 The Voice of the Ancient Bard (壺齋散人訳)
ロバート・バーンズ Robert Burns (1759-1796) は、スコットランドの民族の誇りといわれる詩人である。今でもスコットランド人にとって、単に「吟遊詩人」 The Bard といえばバーンズをさしているくらい、彼らの生活の中に溶け込んでいる。バーンズの誕生日には、世界中に散らばったスコットランド人が、バーンズ・サパーと呼ばれる料理(腸詰の一種)を食べ、Auld Lang Syne を歌う。建国記念日に準じた扱いを受けているのである。
ロバート・バーンズの詩「故旧忘るべき」 Auld lang syne (壺齋散人訳)
ロバート・バーンズの詩「真っ赤なバラ」 A Red Red Rose を読む。(壺齋散人訳)
ロバート・バーンズの詩「ライ麦畑を突き抜けて」 Comin Thro' The Rye を読む。(壺齋散人訳)
ロバート・バーンズ Robert Burns の詩「二十日鼠へ」To a Mouse を読む。(壺齋散人訳)
ウィリアム・ワーズワース William Wordsworth(1770-1850) はイギリス・ロマンティシズムを代表する詩人であり、サミュエル・コールリッジと共作で1798年に発表した詩集「リリカル・バラッズ」Lyrical Ballads はロマン主義運動の先鞭を果たした。
ウィリアム・ワーズワースの詩「早春の賦」 Lines Written In Early Spring を読む
ウィリアム・ワーズワースの詩「ルーシーを悼む」 Strange Fits of Passion を読む。(壺齋散人訳)
ウィリアム・ワーズワースの詩「ルーシーの歌」 She Dwelt among the Untrodden Ways を読む。(壺齋散人訳)
ウィリアム・ワーズワースの詩「カッコウに寄す」 To the Cuckoo を読む。(壺齋散人訳)
ウィリアム・ワーズワースの詩「虹」My Heart Leaps Up を読む。(壺齋散人訳)
ウィリアム・ワーズワースの詩「ウェストミンスター橋の上で」 Composed Upon Westminster Bridge を読む。
ウィリアム・ワーズワースの詩「ロンドン,1802」 LONDON, 1802 を読む。
ウィリアム・ワーズワースの詩「麦を刈る乙女」The Solitary Reaper を読む。(壺齋散人訳)
ウィリアム・ワーズワースの詩「水仙」 The Daffodils を読む。(壺齋散人訳)
ウィリアム・ワーズワースの詩「浮世のこと」 The world is too much with usを読む。(壺齋散人訳)
ウィリアム・ワーズワースの詩「雲雀に寄す」 To the Skylark を読む。(壺齋散人訳)
パーシー・ビッシュ・シェリー Percy Bysshe Shelley (1792-1822) はイギリス・ロマンティシズムを代表する詩人である。イギリスのロマンティシズムは、ウィリアム・ブレイクによる先駆的な業績を皮切りにして、ウィリアム・ワーズワースとサミュエル・コールリッジによって本格的な動きとなり、19世紀初頭に至って、シェリー、キーツ、バイロンといった天才的な詩人たちを輩出した。
パーシー・シェリーの詩「美の讃歌」 Hymn to Intellectual Beauty を読む。(壺齋散人訳)
パーシー・B・シェリーの詩「オジマンディアス」を読む。(壺齋散人訳)
パーシー・B・シェリーの詩「萎れたスミレに」を読む。On a Faded Violet (壺齋散人訳)
パーシー・ビッシュ・シェリーの詩「イギリスの男たちへ」 To the Men of England を読む。(壺齋散人訳)
パーシー・B・シェリーのソネット「1819年のイングランド」ENGLAND IN 1819 を読む。(壺齋散人訳)
パーシー・B・シェリーの詩「西風のオード」を読む。 Ode to the West Wind(壺齋散人訳)
パーシー・B・シェリーの詩劇「解き放たれたプロメテウス」 Prometheus Unbound は、有名なギリシャ神話に題材をとった作品である。詩劇という表現をとっているように、叙事詩とドラマの中間に位置する。ゼウスによって課せられたプロメテウスの試練とそれからの解放を描いたものだ。全体は4部からなる長大な作品であるが、ところどころに差し挟まれた美しい絶唱には、独立して鑑賞に堪える部分が多い。
パーシー・B・シェリーの詩「インド風セレナード」The Indian Serenade を読む。(壺齋散人訳)
パーシー・B・シェリーの詩 Love's Philosophy 「愛の哲学」を読む。(壺齋散人訳)
パーシー・B・シェリーの詩「雲」The Cloud を読む。(壺齋散人訳)
パーシー・ビッシュ・シェリーの詩「ひばりに寄す」To a Skylark を読む。(壺齋散人訳)
パーシー・B・シェリーの詩「あなたのキスがこわい」 I Fear Thy Kisses を読む。(壺齋散人訳)
パーシー・シェリーの詩「プロセルピナの歌」Song of Proserpine を読む。(壺齋散人訳)
パーシー・シェリーの詩「アポロの讃歌」 Hymn of Apollo を読む。(壺齋散人訳)
パーシー・シェリーの詩「月」 The Moon を読む。(壺齋散人訳)
パーシー・シェリーの詩「おやすみ」 Good-Night を読む。Good-Night (壺齋散人訳)
1821年2月、ジョン・キーツがローマで客死したことを知ったシェリーは大いに嘆き、その年の春、キーツの死を悼む長大な挽歌を書いた。「アドネイス」である。「解き放たれたプロメテウス」と並んでシェリーの最高傑作に数えられる。イギリス文学史上もっとも優れた挽歌とされる作品でもある。
パーシー・シェリーの詩「嘆きの歌」 A Lament を読む。(壺齋散人訳)
汚された言葉 One Word is Too Often Profaned (パーシー・シェリーの詩:壺齋散人訳)
あまりに汚されてしまったために
もはや汚しようのない言葉がある
あまりにも侮られているために
これ以上侮りえない言葉がある
希望は絶望と紙一重だから
そには制御しえないものがある
でもあなたからの愛は
何にもまして尊いもの
ランプが砕けると When the Lamp is Shattered (パーシー・シェリーの詩:壺齋散人訳)
ランプが砕けると
明かりは塵にまみれて消える
雲が飛び散ると
虹はきれいな形を失う
リュートが毀れると
美しい音色は戻らない
愛が言葉でいわれると
中身はすぐに忘れ去られる
愛の歌 Music, when soft voices die :パーシー・シェリー(壺齋散人訳)
音楽は、やさしい音が消えた後も
思い出の中に震えている
匂いは、スミレの花が萎れた後も
感覚の中に生きている
葉は、バラがしなびてしまった後も
愛する人のベッドを飾る
思いは、あなたが死んでしまった後も
愛の余韻となってただよう
ひとりぼっちの小鳥 A widow bird sate mourning for her Love:パーシー・シェリー(壺齋散人訳)
ひとりぼっちの小鳥が冬の枝の上で
夫をなくした嘆きを歌った
木の上には冷たい風が忍び寄り
木の下では小川が凍る
裸の木には一枚の葉もなく
地上には一輪の花もない
あたりはひっそりと静まりかえり
聞こえてくるのは水車の音だけ
ジョン・キーツ John Keats(1795-1821) は、パーシー・ビッシュ・シェリーと並んで、イギリス・ロマンティシズムの盛期を飾る詩人であり、その後のイギリスの詩に及ぼした影響は非常に大きなものがある。年上の友人でもあったシェリーと先輩格のリー・ハントが、ともにリベラリズムの信念から政治的な傾向を見せたのに対し、キーツは自然や人間の美を大事にし、美を歌うことこそが詩人の使命だと考えていた。こうした彼の態度が、作品に透明な輝きをもたらし、珠玉のように美しい詩を生み出させたのである。
ジョン・キーツのソネット「チャップマンのホメロスを一読して」 On First Looking Into Chapman's Homer を読む。(壺齋散人訳)
いくたびか私は黄金の領域を旅し
あまたの良き国や王国を訪ねたことか
吟遊詩人がアポロのために治めている
多くの西海の島々にも滞在した
ジョン・キーツの詩「キリギリスとコオロギ」 On The Grasshopper And Cricketを読む。(壺齋散人訳)
地面の詩人は決して死なない
鳥たちが灼熱の太陽に消え入り
涼しい木陰に隠れるときにも その声は
牧場のあたりを 垣根から垣根へと鳴り渡る
エンディミオン Endymion はギリシャ神話に現れるうら若き牧童である。余りにも美しいので、月の女神セレネに愛された。セレネはエンディミオンが人間として寿命があることを悲しみ、ゼウスに永遠の生を与えてくれるように願った。ゼウスはその願いをかなえてやったが、それは永遠の眠りにつく姿としてであった。
ジョン・キーツの詩「12月のわびしい夜」 In drear-nighted December を読む。(壺齋散人訳)
12月のわびしい夜でも
幸せそうでいられる木は
盛りの頃の枝振りを
覚えているわけではないけれど
ぴゅーぴゅーと吹き渡る
北風に裸にされることもなく
凍てつくような寒さでさえも
芽生えを妨げることは出来ぬ
ジョン・キーツの詩「デヴォンのお嬢さん」 Where be ye going, you Devon maid? を読む。(壺齋散人訳)
どこへ行くの デヴォンのお嬢さん?
あなたのバスケットに入ってるのは何?
ぷちっと可愛く 牧場からやってきたあなた
わたしにクリームを少しわけておくれ
ジョン・キーツの詩「愛していますとあなたはいう」 You say you love を読む。(壺齋散人訳)
愛していますとあなたはいう
尼僧のようにか細い声で
尼僧は鐘の音に合わせて
夕べの祈りを歌っている
真実の愛をわたしにおくれ!
ジョン・キーツの詩「美しいけれど無慈悲な乙女」 La Belle Dame Sans Merciを読む。(壺齋散人訳)
いかがなされた 鎧の騎士
ひとり青ざめ さまよわれるとは?
湖畔の草はことごとく枯れ
鳥の声もせぬというのに
1819年は、ジョン・キーツにとって実り多き年であった。エンディミオンを通じて自分の詩風を確立したキーツは、その才能の限りを注ぎ込み、Great Odes と呼ばれる一連の美しい詩を作り出した。「ナイチンゲールに寄す」は、そのトップランナーとも称すべき作品である。
ジョン・キーツのオード「ギリシャの壺に寄す」Ode on a Grecian Urn を読む。(壺齋散人訳)
いまなお穢れなき静寂の花嫁よ
沈黙と悠久の養女よ
森の歴史家でもあるお前は
誰よりもやさしく花物語を語る
お前が神であれ人間であれ
お前の姿にはテンペあるいはアルカディアの谷の
緑に縁取られた伝説が付き添う
お前に描かれたものは 男か神か 拒絶する乙女たちか
狂おしき狩の追跡か 逃れようとする獣のあがきか
ラッパと太鼓 荒々しい陶酔か
ジョン・キーツの詩「居酒屋マーメイド」 Lines on the Mermaid Tavern を読む。(壺齋散人訳)
死んでいった詩人たちの魂よ
あなたがたの通った居酒屋マーメイドは
どんな素敵な野原やコケ蒸した洞窟
どんな理想郷より素晴らしかったそうですね
あなたがたの啜ったカナリアのワインは
どんな飲み物にも増してうまかった
天上のフルーツでさえも
この店の鹿肉のパイにはかなわない
何たる美味!
あなたがたはロビンフッドのように
マリアンのような女性をはべらせ
鹿の角にワインをくんで飲んだのでしたね
ジョン・キーツのオード「秋に寄す」 To Autumn を読む。(壺齋散人訳)
霧が漂う豊かな実りの季節よ
恵みの太陽の親密な友よ
秋は日の光と手を携えて
生垣を這う葡萄にも実りをもたらす
苔むした庭木に林檎の実を実らせ
一つ残らず熟させてあげる
ひょうたんを膨らませ ハシバミの実を太らせ
蕾の生長を少しずつ促して
花が咲いたら蜂たちにゆだねる
蜂たちは巣が蜜でねっとりとするのをみて
暖かい日がずっと続くことを願うだろう
ジョン・キーツの詩「憂愁のオード」 Ode on Melancholy を読む。(壺齋散人訳)
いやいや 忘却の川へ行ってはならぬ
根を張ったトリカブトから毒の汁を搾ってもならぬ
お前のその青ざめた額に
冥府の女王の毒草を押し当ててもならぬ
イチイの実でロザリオを作ったり
カブトムシや毒蛾たちに
お前の鎮魂歌を歌わせてはならぬ
毛むくじゃらの梟にお前の悲哀を覗かせてはならぬ
でなければ次々と襲い来る影が眠気を誘い
魂の疼く苦悩を溺れさせるだろう
ハイペリオン(ヒュペリオーン)は、ギリシャ神話に出てくる神で、ゼウスが支配するようになる以前には、太陽を司る神であった。ゼウスは父親のクロノスを始め、タイタン(ティーターン)族に戦いを挑み、ついに長い戦争を勝ち抜いて、新しい宇宙の支配者になるが、この戦いの中で、ハイペリオンも敗れ、太陽の神の座をアポロに譲り渡す。
ジョン・キーツの詩「アポロへの讃歌」 Hymn To Apollo を読む。(壺齋散人訳)
黄金の弓を持つ神
黄金の竪琴を奏でる神
黄金の髪をなびかす神
黄金の火を放つ神
季節を運ぶ
乗り物の御者
神よあなたの怒りが静まるのをみて
ちっぽけなわたしがあなたの花冠を
あなたの月桂冠 あなたの栄光
あなたの光を戴いたとしたら
そんなわたしは地を這う虫に見えるでしょうか?
おお デルフォイに坐す偉大なアポロよ
ジョン・キーツの詩「恐れのとき」 When I have Fears を読む。(壺齋散人訳)
わたしのペンがわたしの思いを書きつくすまで
万巻の書を読み豊かな思想を
収穫のように実らせることが出来るまで
自分が生きてはいないだろうと思うと
ジョン・キーツの詩「今夜わたしが笑ったわけ」 Why did I laugh tonight? を読む。(壺齋散人訳)
今夜わたしが笑ったわけを 誰もいえる者はない
いかなる神も 冷静な応答をなす悪魔さえも
天上からも地獄からも 答えようとはしない
それでわたしは自分自身の心に向かって問いかけるのだ
ジョン・キーツの詩「ブライト・スター」Bright Star を読む。(壺齋散人訳)
北極星よ あなたのようにわたしもありたい
夜空に高く 星々を従えて輝き
眠りを知らぬ隠者のように
まぶたを大きく見開いて
永遠の波が渚をめぐって
次々と押し寄せるさまを見続けていたい
また山々や原野の上に降り積もった
真っ白な雪の絨毯を眺めていたい
ジョン・キーツの詩「妖精の歌」 Fairy Song を読む。(壺齋散人訳)
涙するなかれ!おお涙するなかれ!
散った花はまた咲くのだから
泣くなかれ!おお泣くなかれ!
地中には新しい命が芽吹くのだから
目をぬぐえ!おお目をぬぐえ!
わたしは天に召されて
心静める歌を習ったのだから
涙するなかれ
ジョン・キーツの詩「この日が過ぎ去った」 The Day is Gone を読む。(壺齋散人訳)
この日が過ぎ去った すべての甘い思い出とともに!
甘い声 甘い唇 柔らかな手 ふくよかな胸も
暖かい息 さやかなささやき か細い声も
輝く目 優雅ないでたち けだるい物腰も消え去った!
ジョン・キーツは、不治の病に襲われ自分の死を身近なものとして考え始めて以来、様々な形で死というものに立ち向かい、それを詩に歌った。それらは、輝かしかった日々への愛惜の念であったり、愛する人々への感謝の気持ちであったり、死すべき身にして恋をしたことへの自責であったりした。
ジョージ・ゴードン・バイロンGeorge Gordon Byron (1788-1824) は、イギリスのロマン主義が怒涛のように渦巻いた時代に、常にその渦の中心にいた詩人だった。生前はもとより、19世紀中を通じて、ロマンティシズムのチャンピオンとして受け取られたばかりか、シェイクスピアと並んで、イギリスが生んだ最も偉大な詩人だと考えられていた。今日ではシェリーやキーツの後塵を拝するようになってしまったバイロンだが、そのユニークで壮大な業績はやはり超一流の芸術といわねばならない。
ロード・バイロンの詩「彼女の歩く姿の美しいさま」 She walks in beauty を読む。(壺齋散人訳)
彼女の歩く姿の美しいさまは
雲ひとつない星空のようだ
闇の黒さと星々の輝きが
彼女の姿 目の中で出会い
やさしい光を放っている
真っ白な昼には見られない光だ
バイロンの詩「冷たさが人を包んで」 When coldness wraps this suffering clayを読む。(壺齋散人訳)
冷たさが人を包んで粘土のように変えるとき
不滅の魂よ 汝はどこにさまよい出るのだ?
汝は死すことなく とどまることもなく
抜け殻となった体を残して飛び出す
もはや形にとらわれない汝は
惑星の軌道をひとつずつたどっていくのか?
それとも広大な宇宙を一瞬のうちに
内なる目でとらえるのか?
バイロンの詩「音楽に寄せて」 Stanzas for Music を読む。(壺齋散人訳)
美の女神の娘たちのなかでも
お前ほど魅惑的なものはない
お前のその甘い声は
水が奏でる音楽のようだ
その声にうっとりとして
大海原も静まりかえり
波はきらりと閃光を発し
風は気持ちよく夢見るようだ
バイロンの詩「オーガスタに捧げる」STANZAS TO AUGUSTA を読む。(壺齋散人訳)
わたしの幸運の日が過ぎ去り
わたしの運命の星が傾いても
あなたは優しい心をもって
わたしの過ちを見逃してくれた
あなたはわたしの悲しみをみて
それを自分のものとして受け取ってくれた
わたしの魂が思い描く愛とは
あなたなしではありえなかった
ギリシャの島々 The Isles of Greece(バイロン「ドン・ジュアン」:壺齋散人訳)
ギリシャの島々 ギリシャの島よ!
情熱のサフォーが愛し歌ったところ
戦争と平和の術が栄えたところ
デロスが立ち フェーボスが跳ねたところ
永遠の夏が輝きをもたらし
太陽のほか沈むもののないところ
さまようのはやめよう So we'll go no more a-roving(バイロン:壺齋散人訳)
もう さまようのはやめよう
夜はこんなにも更けてしまった
心がまだ愛に息づいていても
月がまだ明るく照らしていても
誰がキーツを殺したかWho killed John Keats?(バイロン:壺齋散人訳)
誰がキーツを殺したか?
自分だと クォータリーがいう
手荒に 容赦なく
見事な手柄ぶりだったと
誰が矢を放ったか?
詩人の番人ミルマンさ
奴は人殺しが大好きだ
サウジーも バーローも
36歳の誕生日 On This Day I Complete My Thirty-Sixth Year (バイロン:壺齋散人訳)
今やもう心をときめかす年ではない
人の心をときめかすこともない
だが愛されることはないにせよ
人を愛し続けたい
ジョン・ダン John Donne (1572-1631) はイギリスの文学史上あまり例をみないユニークな詩人である。その文学上の業績は同時代人にとっては受け入れられることはなかった。だが20世紀になると深い影響を及ぼすようになり、イェイツやエリオットに高く評価された。ヘミングウェーやマートンは自分の作品の題名をダンの文章からとったりしている。
ジョン・ダンの詩集「唄とソネット」から「蚤」The Flea(壺齋散人訳)
この蚤を見てごらん こいつにとっては
君が僕を拒絶したことなど 何の意味もないのだ
こいつはまず僕の血を吸い ついで君の血を吸った
こいつの中で僕らの血は混ざり合ったのだ
わかるだろうこれは 別に罪でもなく
恥でもなく 貞操が失われたわけでもない
こいつは求愛もしないうちからお楽しみ
僕ら二人の血を吸って丸々と太っている
僕らができないことをまんまとしでかして!
ジョン・ダンの詩集「唄とソネット」から「唄」Song(壺齋散人訳)
さあ行け 流れ星をつかまえろ
マンドレークを根こそぎ引っこ抜け
過ぎ去った日々がどこに消えたか
悪魔の股を裂いたのは誰か言ってくれ
どうしたら人魚の歌が聞けるのか
嫉妬の針を避けられるのか 教えてくれ
そうすればどんな風が
正直な心を
育んでくれるかがわかるから
ジョン・ダンの詩集「唄とソネット」から「昇る陽」The Sun Rising(壺齋散人訳)
せっかちなオヤジ がさつ者の太陽よ
どうしてそう気ぜわしく
窓のカーテン越しに僕らのことを伺うのだ?
恋の営みもお前の歩調に合わせろというのか?
助平なエロオヤジめ
怠け者の子供たちでも叱っていろ
鷹匠たちに王様のお出ましだと伝えろ
百姓たちをさっさと仕事に駆り立てろ
僕らの恋の営みには季節も陽気も
時間も月日も 時の歩みは関係ない
ジョン・ダンの詩集「唄とソネット」から「餌」The Bait(壺齋散人訳)
さあおいで いとしい人よ
金色の砂浜 クリスタルな流れで
絹の糸と 銀の針を使って
気晴らしに釣りをしてみよう
川はせせらぎ流れ
君の目は太陽よりも暖かい
その目に恋をした魚たちは
君に釣られることを願うだろう
ジョン・ダンの詩集「歌とソネット」から「傷心」The Broken Heart(壺齋散人訳)
こんなことをいうやつは全くのばか者だ
一時間の間恋をしたなどと
それもすぐに覚めたというのでなく
むさぼるような恋だったなどと
もし僕が一年間疫病にかかっていたといったら
誰が僕のいうことを信じるだろうか?
火薬の光が太陽を焼け焦がしたといったら
誰が僕を笑わないでいようか?
ジョン・ダンの詩集「歌とソネット」から「告別」A Valediction(壺齋散人訳)
有徳の人が穏やかに息を引き取り
魂にさあ行こうとささやきかけるとき
悲しみにくれた友人たちはこもごもいう
「息を引き取った」とも 「いやまだだ」とも
そのように静かに消えていこう
涙の洪水もため息の嵐も引き起こさずに
世の中の人々に僕らの愛を語ることは
僕らの喜びを損なうことだもの
ジョン・ダンの詩集「歌とソネット」から「恍惚」The Ecstacy(壺齋散人訳)
ベッドの上の枕のように
はちきれた土手が盛り上がって
スミレの頭を休ませてるところに
僕らは愛し合いながら横たわっていた
つなぎあった僕らの手は
にじみ出る汗の香油で固く結ばれ
二つの目から飛び出る視線は
僕らの目を二重の糸でつなぎ合わせる
ジョン・ダンの詩集「歌とソネット」から「魂の喜び」Soul’s Joy(壺齋散人訳)
魂の喜び いま僕は逝く
君を残して
だけれども
僕は一人で行くわけじゃない
君も一緒に連れて行くのだ
僕らの目には
互いの姿が見えなくなり
永遠の闇に包まれるとき
そのとき互いが光に変わる
悲しみに沈むことなく
互いの愛を
信じ続け
この奇跡をおこさせよう
消え去るのは僕らではなく肉体なのだと
ジョン・ダンの詩「聖なるソネット1(翼をください)」(壺齋散人訳) -Z a
あなたは私を作られた なのに私は滅んでいく
私を回復してください でないと終わりがやってきます
私は死に向かって走り 死もまた私を迎えようとする
私のすべての喜びも 昨日の夢のように思われるのです
ジョン・ダンの「聖なるソネット4(黒く汚れた心よ)」(壺齋散人訳)
おお 私の黒く汚れた心よ いまやお前は召されるのだ
死の魁にして主人たる病にせかされて
お前は旅先で裏切を犯した罪によって
逃げてきた祖国に戻れない巡礼のようだ
死よ驕るなかれ:ジョン・ダンの「聖なるソネット10」(壺齋散人訳)
死よ驕るなかれ 汝を力強く恐ろしいと
いう者もいるが 決してそうではない
汝が倒したと考える者は 死にはしない
おろかな死よ 汝は私を殺せないのだ
ジョン・ダンの「聖なるソネット17(天国への思い)」(壺齋散人訳)
我が愛する女性が この世への負債を支払い
彼女自身と 私の幸福のために死んで
その魂が天に召されてからというもの
私はすっかり 天国へと思いをいたした
ここに彼女をたたえるあまりに 神よ
私はあなたを追い求めて 水源をたどった
でもあなたを見出し あなたに渇きを癒されても
あなたの癒しは 水腫となって私をとろかすのみ
ジョン・ダンの瞑想録から「誰がために鐘は鳴る」Meditation XVII(壺齋散人訳)
晩年のダンは、深い宗教的な思索を詩や説教の中で表した。それらは初期の詩に見られたような感性や諧謔、不安や絶望といったものを脱却して、魂の救済を大きなテーマにしている。なかでも「瞑想録」と題した一連の説経は、後世の人々にも大きな影響を与えた。
ジョン・ダンの詩「父なる神への讃歌」A Hymn To God The Father(壺齋散人訳)
私がそこから始まった罪 私自身の罪ではあるけれど
わたしが生まれる前になされていた罪を あなたは許し給うだろうか
私がそれによって生き 今もなお生き続けながら
常に悔いている罪を あなたは許し給うだろうか
だがあなたがそれを許し給うても 許されたことにはならない
私にはまだほかにも 罪があるのだから
ポエティカル・スケッチ Poetical Sketches はウィリアム・ブレイクの処女詩集である。ブレイクは1783年(26歳のとき)に、アンソニー・マーシュー牧師の援助を得て、この詩集を印刷した。そこに収められた二十数編の詩は、12歳から20歳までの間に書かれたものだといわれる。
ウィリアム・ブレイク詩集「ポエティカル・スケッチ」から「春に寄す」 To Spring(壺齋散人訳)
髪を露に滴らせ さわやかな朝の窓越しに
下界を見下ろしているあなた
その天使のまなざしを私たちの島に向けてください
私たちは合唱してあなたの到来を祝いましょう おお春よ!
ウィリアム・ブレイク詩集「ポエティカル・スケッチ」から「夏に寄す」 To Summer(壺齋散人訳)
我らが谷々を力強く通り過ぎる君よ
君の猛々しい駿馬をなだめ その大きな鼻の穴から
燃え出る炎の熱を鎮めよ 君よ おお夏よ!
君がここにしばし黄金のテントを設け
オークの木陰で眠りをむさぼる間
我らは喜びながら君の手足と見事な髪に眺めいるのだ
ウィリアム・ブレイク詩集「ポエティカル・スケッチ」から「秋に寄す」 To Autumn(壺齋散人訳)
たわわな果実 血のような葡萄の汁 おお秋よ!
立ち去らないで しばし我が屋根の下にいておくれ
そこで安らかにくつろぎながら
私の笛に合わせて楽しい歌を歌っておくれ
季節の娘たちも歌に合わせて踊るから
果物と花々の楽しい歌を歌おうよ
ウィリアム・ブレイク詩集「ポエティカル・スケッチ」から「冬に寄す」 To Winter(壺齋散人訳)
おお冬よ、お前の堅固な扉を閉ざせ!
お前は北国に 暗くて深い住処を建てた
お前の屋根を揺するな
鉄の車で柱を曲げたりするな
ウィリアム・ブレイク詩集「ポエティカル・スケッチ」から「宵の明星」 To the Evening Star(壺齋散人訳)
金色の髪をした夕暮れの天使よ
今や太陽が山の端に憩うとき
お前の明るい愛の松明で照らしておくれ
輝く冠をつけて夕べの寝床に微笑みかけておくれ
そして私たちの愛に微笑みかけておくれ
お前が空の青い帳を引くときには
眠りに目を閉じた花々に銀の露をまきかけておくれ
西風を湖水の上で眠らせておやり
輝く目で静かに語っておくれ
夕靄を銀で洗い流しておくれ
やがてお前が消え去ると 狼が暴れまわり
ライオンは薄暗い森に目を光らし
羊たちの毛はお前の聖なる露にぬれる
羊たちをお前の霊力で守っておくれ
ウィリアム・ブレイク詩集「ポエティカル・スケッチ」から「朝に寄す」 To Morning(壺齋散人訳)
おお聖なる処女よ! 純白の衣を着て
天空の黄金の門を開き 出てきておくれ
天空で眠っている夜明けを起こし
東の空から光を注がせておくれ
そして目覚める日に蜜のような露を贈っておくれ
おお輝く朝よ 狩人のように起き上がった
太陽にご挨拶なさい
そしてバスキンを履いて私たちの丘に現れなさい
ウィリアム・ブレイク詩集「ポエティカル・スケッチ」から「歌1」Song No1(壺齋散人訳)
何と楽しく野から野へとさまよい歩き
夏の栄華の限りを味わっていたことでしょう
そのうち私は愛の王子を見かけたの
太陽の光の中を滑っていたわ
ウィリアム・ブレイク詩集「ポエティカル・スケッチ」から「歌2」 Song No2(壺齋散人訳)
私の絹衣も素敵な衣装も
私の微笑も物憂さも
みな恋が追い払ってしまった
すると悲しみやつれた絶望がきて
私にイチイの木を贈りそれで墓を飾れという
本当の恋もこんな終わり方をするもの
ウィリアム・ブレイク詩集「ポエティカル・スケッチ」から「歌3」 Song No3(壺齋散人訳)
愛と調和が一緒になって
私たちの魂にまといつく
君の枝は私の枝と絡み合い
私たちの根っこは結ばれている
私たちの枝には喜びがあふれ
高らかに音をたてやさしく歌う
足元のせせらぎが合流するように
無垢と清純とが出会う
ウィリアム・ブレイク詩集「ポエティカル・スケッチ」から「歌4」 Song No4(壺齋散人訳)
僕は陽気な踊りが好きだ
息遣いも柔らかに歌いながら
無垢な眼差しが見つめあい
娘さんが舌足らずにしゃべる
僕は笑いさざめく谷間が好きだ
こだまする丘が好きだ
みな浮かれ騒ぎに夢中になり
陽気な若者は遠慮なく笑う
ウィリアム・ブレイク詩集「ポエティカル・スケッチ」から「歌5」 Song No5(壺齋散人訳)
思い出よ こっちへ来て
楽しい調べを奏でておくれ
お前の音楽が風に乗って
ふわふわ漂っている間に
私は恋人たちが夢見ている
小川の流れを見つめながら
水の鏡を横切った
妖精たちを釣り上げよう
ウィリアム・ブレイク詩集「ポエティカル・スケッチ」から「狂気の歌 」Mad Song(壺齋散人訳)
荒々しい風が音をたて
夜が冷たい
眠りよ こっちへきて
悲しみを包んでおくれ
だが見よ!朝日が
東の崖に頭を出した
夜明けの騒がしい鳥たちが
地上のものたちを笑う
ウィリアム・ブレイク「ピカリング草稿」から「微笑」 The Smile(壺齋散人訳)
愛の微笑があり
偽りの微笑がある
そしてこの二つの微笑を含めた
微笑の中の微笑がある
ウィリアム・ブレイク「ピカリング草稿」から「心の旅人」 The Mental Traveller(壺齋散人訳)
私は人間たちの国を旅した
男たちと女たちからなる国を
そこで誰もが聞いたことのないような
冷酷で恐ろしい話を聞いた
そこでは子どもは歓喜のうちに生まれ
苦痛のうちに孕まれる
我々が辛い涙でまいた種の
果実を喜びのうちに収穫するように
ウィリアム・ブレイク「ピカリング草稿」より「夢の国」 The Land of Dreams(壺齋散人訳)
起きな 坊や 目を覚ますんだ
お母さんだって心配するよ
眠りながら何故そんなに泣くんだ?
さあ起きな お父さんが守ってやるから
ウィリアム・ブレイク William Blakeの詩集「ピカリング草稿」から「無垢の予兆」Auguries of Innocence(壺齋散人訳)
一粒の砂の中に世界を見
一輪の花に天国を見るには
君の手のひらで無限を握り
一瞬のうちに永遠をつかめ
ウィリアム・ブレイク「ピカリング草稿」から「のっぽのロング・ジョンと小さなメリー・ベル」 Long John Brown and Little Mary Bell(壺齋散人訳)
小さなメリー・ベルの木の実には妖精が住んでいた
のっぽのロング・ジョンの腹の中には悪魔がいた
ロング・ジョンはメリー・ベルに恋をした
そこで妖精が悪魔を木の実に誘った
ウィリアム・ブレイク「ロゼッティの写本」から「愛を語ってはならない」 Never seek to tell thy Love(壺齋散人訳)
決して愛を語ってはならない
愛とは語られることの出来ないもの
やさしい風がそよぐときも
静かに 見えないようにそよぐように
ウィリアム・ブレイク「ロゼッティ草稿」から「君は信じない」 You don't believe(壺齋散人訳)
君は信じない 私も信じてもらおうとはしない
君は寝むっている 私も起きてもらおうとはしない
さあそのまま寝ていたまえ その快適な眠りのうちで
君は命の明るい流れから理性を汲み取ることだろう
理性とニュートン この二つは異なったものだ
ツバメやスズメもそう歌っているとおり
ウィリアム・ブレイク「ロゼッティ草稿」から「キューピッド」 Why was Cupid a boy(壺齋散人訳)
キューピッドは何故男の子なのか
男の子が何故キューピッドになったのか
私の見る限りでは
女の子でもよかったはずだ
ウィリアム・ブレイク William Blake の「ロゼッティ写本」から「女王に」To the Queen(壺齋散人訳)
死の扉は金で作られ
人の目には決して見えない
だけれども目が閉じられ
体が冷たく横たわると
魂が目覚めてあたりをさまよい
その手には黄金のカギを持つ
墓は天国への黄金の門
貧者も富者もそれを目指す
イギリスの護民官よ
この荘厳な門を見よ!
ウィリアム・ブレイク William Blake「ロゼッティ写本」から「永遠のゴスペル」 The Everlasting Gospel(壺齋散人訳)
君たちが見るキリストのヴィジョンは
私のヴィジョンにとっては大きな敵だ
君たちのは君たちのような鉤鼻をしている
私のは私のようなシシ鼻だ
ウィリアム・ブレイク「天国と地獄の結婚」The Marriage of Heaven and Hellから序詞を読む。(壺齋散人訳)
リントラが吼え 重苦しい空に火を吹き上げる
飢えた雲が海面に垂れ込める
ウィリアム・ブレイクの詩集「アルビオンの娘たちの幻影」 Visions of the Daughters of Albion から序の歌(壺齋散人訳)
私はテオトルモンを愛したの
恥ずかしいとは思わなかったわ
でも処女ゆえの恐れから震えて
ルーサの谷間に隠れたの
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